『進撃の巨人』が問い続ける“正義”のあり方 リヴァイとハンジの名コンビ登場で高まる期待
いよいよ物語が佳境に向かいつつあるTVアニメ『進撃の巨人 The Final Season Part 2』。第82話では、硬質化が解かれ4年ぶりに意識を取り戻したアニ・レオンハートの過去が明かされ、ラストには久しぶりにリヴァイとハンジ・ゾエの2人が登場しファンを沸かせた。
超大型巨人が外の世界に向けて一斉に進行している一方で、その被害を受けた一般人の救護を憲兵団が行っていた。憲兵団のひとりヒッチ・ドリスは、その最中、アニが閉じ込められていた地下室から足跡が残されているのを発見する。その足跡を辿り部屋に入ると、背後からアニに「叫んだら、喉を切り裂く」と脅されるヒッチ。だが、4年もの間、硬質化状態にあったアニはヒッチにあっさりと投げ飛ばされてしまう。
巨人化を示唆するアニに対し仲間の助けを呼ぼうとするヒッチだったが、街を出たいと願うアニの要求を受け入れる。アニとヒッチと言えば、同じ憲兵団の同期であり、ルームメイトという関係性。アニが硬質化によって目を覚まさない状態になってからというものヒッチは監視という名目で、アニを気にかけてきた。アニの所在を仲間に知らせることしなかったのは、仲間思いな彼女なりの気配りだったのだろう。
「人を殺すことは褒められることだった」
街の外へと向かう道中でアニは訥訥と自らの過去を話し始める。母親の浮気相手がエルディア人という理由から生まれてまもなくして親に捨てられたアニ。そんなアニはエルディア人の血を引く男に拾われる。しかし、男の目的は、アニをマーレの戦士に鍛え上げるというもの。そこにあるのは戦士になるかどうかという価値のみが存在し、親の愛情というものは一切存在しない無慈悲な現実だ。当時のアニの心情を慮るといたたまれない気持ちになるのも無理はない。同時にアニのアイデンティがこの過去に起因しているのだと強く実感させられる回想シーンにもなっている。
だが、パラディ島へと向かう当日に男から「教えたことはすべて間違っていた」「帰ってきてくれ」と涙ながらに懇願されたことを機に、アニは人生で始めて愛というものを知ることになる。これまでの回想のなかで主語を“男”としていたアニが、これを境に“父親”と呼び方を変えていたのが印象的だった。過去には男からひどい仕打ちを受けてきたかもしれない。しかし、孤独なアニにとっては些細な愛情すらも尊いものなのだ。