『進撃の巨人』が問い続ける“正義”のあり方 リヴァイとハンジの名コンビ登場で高まる期待

 これまでしてきた過ちへの後悔を吐露する一方で、「父の元へと帰るためならまた同じことをやる」と強い決意を覗かせるアニ。たとえ罪であると知りながらも、自分が愛するもの、信じるもののために、それらを犠牲にするという行為は、誰もが経験したことがあるものであるはずだ。アニもまた父親の元へと帰るという目的を遂行するためであれば犠牲もいとわない、それが彼女にとっての行動原理であり、正義だった。今となってはそんなアニの行動を誰も否定することなどできるわけもない。

 アニの回想シーンと並んで第82話の見どころだったのが、コニー・スプリンガーとファルコ・グライスの会話だろう。不気味さすら感じさせる赤黒い夕暮れの中、コニーとファルコはラガコ村へと向かっていた。その理由はただひとつ、巨人化した母親にファルコを食べさせて人間に戻すためだ。そんなコニーの真意を知る由もないファルコはコニーに対して純粋な気持ちで向き合う。コニー役の下野紘によるセリフの間のとり方や息遣いからは、罪悪感の中で揺れ動くコニーの心情が見事に表現されていた。

 アニの他者を犠牲にしてまでも父親の元へと帰るという思い、そしてコニーのファルコを犠牲にして母親を取り戻そうという思い。そこにあるのは大事な人をただ守りたいという各々の正義だ。それを誰が間違いだと言うことができようか。『進撃の巨人』という作品は、さまざまな角度から正義とは何かという問いを私たちに投げかけてくれる。

 最後には死亡したと思われていたリヴァイとハンジの生存が判明。名コンビの活躍が今後あるのかにも注目したい。

■放送・配信情報
TVアニメ『進撃の巨人 The Final Season Part 2』
NHK総合にて、毎週日曜24:05〜放送
キャスト:梶裕貴、石川由依、井上麻里奈、下野紘、三上枝織、谷山紀章、細谷佳正、朴ロ美、神谷浩史、子安武人、花江夏樹、佐倉綾音、沼倉愛美、増田俊樹、松風雅也
原作:諫山創(別冊少年マガジン/講談社)
監督:林祐一郎
シリーズ構成:瀬古浩司
キャラクターデザイン:岸 友洋
総作画監督:新沼大祐 / 秋田学
演出チーフ:宍戸淳
エフェクト作画監督:酒井智史、古俣太一
色彩設計:大西慈
美術監督:根本邦明
画面設計:淡輪雄介
3DCG監督:奥納基、池田昴
撮影監督:浅川茂輝
編集:吉武将人
音響監督:三間雅文
音楽:KOHTA YAMAMOTO、澤野弘之
音響効果:山谷尚人(サウンドボックス)
音響制作:テクノサウンド
アニメーションプロデューサー:川越 恒
制作:MAPPA
(c)諫山創・講談社/「進撃の巨人」The Final Season製作委員会
公式サイト:https://shingeki.tv/final/
公式Twitter:@anime_shingeki

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