『逃亡医F』成田凌×松岡昌宏に芽生えた絆 後半戦に向けて物語が動き出す

『逃亡医F』成田凌×松岡昌宏に芽生えた絆

 逃亡者・藤木(成田凌)と、追跡者・拓郎(松岡昌宏)。最愛の人を失うという同じ痛みを抱えた二人が、ようやく通じ合った『逃亡医F』(日本テレビ系)第6話。これまで伏せられていた、藤木の苦すぎる後悔も明らかになった。

 警察から逃げ続けることは難しいと判断し、拓郎にすべてを話して協力し合いたいと考えた藤木。拓郎を前に、これまで言い淀んでいた事実を打ち明けた。それは、妙子(桜庭ななみ)の研究が軌道に乗ったことを、嬉しさのあまり前祝いの場で話してしまったこと。もちろん、研究者としてあるまじき行為だ。「自分の情報漏洩のせいで、妙子が殺されたのかもしれない」、その可能性を口に出すのが怖くて言えなかったのだと、藤木は拓郎に頭を下げる。もちろん、すぐに和解はできなかったがーー。

 妙子が残したテープを分析していたモー(中村蒼)は、ノイズに違和感を覚える。抽出したノイズを解析してみると、そこには妙子が意図的に隠したデジタルデータが。都波(酒向芳)の確認により、これこそバイオネオ社が探し求める「DDSη」であることが判明。改めて、藤木は逃げることをやめ、犯人を待ち構えて反撃したいと、そのために力を貸してほしいと拓郎に申し出る。

 しかし妙子のことになると、拓郎の思考は0か100か。拓郎は藤木も、佐々木(安田顕)も、烏丸(前田敦子)も、都波もーー怪しいやつはみな殺すのだという。拓郎自身、矛盾していることは分かっている。無実であれば申し訳ない、けれど妙子を殺した人間を逃すよりもマシだと、もはや怒りではない瞳で藤木をその手をかけようとしていた。

 拓郎を止めたい一心で、美香子(森七菜)は、拓郎が藤木に成りすまして送ったメールを読みあげる。そこには、行き場のない寂しさが綴られていた。朝が来るのが怖い、夜も眠れない、辛くて苦しい時間以外はからっぽだ、と。藤木の瞳からは、今にも涙がこぼれそうだった。殺されるかもしれない恐怖ではない。妙子を失い、空っぽだった自分の気持ちを分かってくれる人に、ようやく会えた喜びでもあったかもしれない。命の終わりを覚悟した空虚な瞳に、温かい涙がにじむ。

 拓郎にとっては最愛の妹、藤木にとっては最愛の恋人。関係性は異なれど、二人にとって「妙子」はたった一人の愛しい人。妙子を失った本当の悲しみは、彼らにしか分かり合えないだろう。突然の不審死、死後も落ち着かない周囲、データをめぐる薄暗い探り合いーーただ純粋に、彼女がいなくなった事実に涙を流せるのは、藤木と拓郎だけなのだ。

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