初登場2位『ウエスト・サイド・ストーリー』 ミュージカル映画は時代遅れか? 不滅か?

ミュージカル映画は時代遅れか? 不滅か?

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 先週末の動員ランキングは、『劇場版 呪術廻戦 0』が土日2日間で動員15万9000人、興収2億2600万円をあげて4週連続、通算6週目の1位に。2月13日までの累計興収は110億8759万1410円。1月の半ばには『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』と『コンフィデンスマンJP 英雄編』と合わせて三つ巴の首位争いを繰り広げていたが、やはりというか、結果的には1作だけが抜け出したかたちだ。

 初登場2位となった『ウエスト・サイド・ストーリー』は、土日2日間で動員9万1000人、興収1億3700万円、初日から3日間の累計で動員15万2756人、興収2億2920万1170円という成績。パンデミック以降の外国映画としては健闘しているものの、巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督による、アカデミー賞10部門を受賞した超有名ミュージカル映画の渾身のリメイク(スピルバーグ自身は今作を1961年の映画『ウエスト・サイド物語』のリメイクではなく、1957年初演の舞台版からすべての着想を得ていると発言している)としては少々物足りない数字かもしれない。

 もっとも、それは公開から10週が過ぎても3700万ドル(約43億円)ほどにとどまっている北米でのパフォーマンスにも言えること。北米でも様々な理由が指摘されているが、北米に限らず日本でも、やはり一番大きいのはパンデミック期に入ってから2年が経っても年配層の客足が戻っていないことだろう。実際、自分も幼少期から両親を通して、いかに1961年の『ウエスト・サイド物語』がその当時衝撃的な作品だったかについて聞かされてきたが、自分が観た平日昼間の劇場でもそこまで年配層の観客は目立ってなかった。また、日本では公開予定日まで1ヶ月を切った昨年11月に、急遽約2ヶ月の公開延期が発表されたこともあって、作品のプロモーションが幅広い層にまで行き渡っていないのではないか。付け加えるなら、特に年配層にとって心理的影響の大きい新型コロナウイルスの感染状況は、当初公開が予定されていた12月よりも現在の方が結果的に悪化しているのだから目も当てられない。

 いずれにせよ、今回の『ウエスト・サイド・ストーリー』は、2012年の『レ・ミゼラブル』(興収58.9億円)や2018年の『グレイテスト・ショーマン』(興収52.2億円)など、日本で当たるとデカいミュージカル映画の系譜に名を連ねることはできなかったことになる。昨年は『イン・ザ・ハイツ』のような内容的には突出した作品も、日本だけでなく世界的に不発に終わった。ただし、ミュージカル映画はそのフォーマットとしてもはや時代遅れなのかというと、そんなことはまったくないと断言しておきたい。

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