デヴィッド・フィンチャー、『ファイト・クラブ』改変騒動について反応 「理解できない」

フィンチャー『ファイト・クラブ』改変に言及

 デヴィッド・フィンチャーが監督を務めた『ファイト・クラブ』(1999年)のエンディングが、中国の動画配信サービス、テンセントビデオ(Tencent Video)で配信された際、オリジナルとは異なる内容に改変されていた件で、ネット上では物議が醸されていた。しかし、事態を受けたテンセントビデオは2月初めにオリジナル版のエンディングを復元させ、現在はオリジナル版のエンディングが配信されていると伝えられている。

デヴィッド・フィンチャー(写真:Shutterstock/アフロ)

 VICE誌によると、改変の経緯について、自主的に行われたものか、中国政府の指示によるものなのかは不明とされており、テンセントビデオもコメントを控えている。

 また、同誌の情報によると、改変されたエンディングは、著作権所有者により編集され、中国政府から承認を得たあと、ストリーミングサイトにて販売されたといわれている。

 フィンチャーは、Empire誌のインタビューで本件について、「中国でエンディングを書いた人は、原作を読んだに違いないと思います。なぜなら、かなり忠実に(原作の最後のページを)とらえているからです」「ある会社は、中国で上映(配信)するために、ニュー・リージェンシー・プロダクションズ(New Regency)から、この映画のライセンスを取得したのですが、その際、『検閲のためにカットされる可能性があることを理解しなければならない』という文章(契約書)がありました。誰も『エンディングが気に入らなかったら、変更してもいいか』とは言っていません。ですので、今、“トリム”とは何かについて議論が行われています」と述べた。

 フィンチャーはまた、「このストーリーが好きではないのなら、なぜこの映画のライセンスを取得するのでしょうか」「私は、『私たちのサービスに、あなたの作品はぴったりだと思います。ただ、違う映画に変更したいのです』という考えが理解できません。この映画は20年前の作品なので、(描写などが)めちゃくちゃ優しいというわけではないのです」とコメントした。

 また、『ファイト・クラブ』の原作者であるチャック・パラニュークは、以前TMZのインタビューにて、「皮肉なことに、中国が変更したエンンディングは、壮大な映像によるフィンチャーのエンディングとは対照的に、原作とほぼ同じように揃えています。なので、ある意味中国版は、映画を原作に少し戻したということですね」と述べ、自身のTwitterでは、「中国ではみんなハッピーなエンディングだ!」とコメントしていた。また、オリジナル版のエンディング復元後には、「中国は正しいことをした」とコメントをしている。

参照

David Fincher Reacts to China’s ‘Fight Club’ Censorship and Why ‘It Makes No Sense to Me’|VARIETY
Cult Classic ‘Fight Club’ Gets a Very Different Ending in China|VICE

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