『カムカム』“るい編”はオシャレな朝ドラ? 1960年代カルチャー要素を解説

『カムカム』1960年代カルチャーを紐解く

 そして忘れてはならないのが、ジョー(オダギリジョー)とるいを繋ぐ重要なポイントでもあるレコードとジャズ喫茶だ。1960年代初頭はモダンジャズブームであった。劇中でトミーがライバル視していたサックスプレイヤーのナベサダこと渡辺貞夫が文化を牽引し、モダンジャズブームは隆盛。

 若手プレーヤーも増え、ジョーたちのような若き才能もあちこちで開花しようとしていた。そしてジャズの流行は、多くのジャズ喫茶を開店させることになる。作中で何度も出てきたレコードも、この時代には急激に生産数を伸ばし多くの人々を楽しませることに。

 朝ドラでは過去にも『ひよっこ』が同時代を描いており、ヒロインの幼なじみが、当時のファッションアイコンであるモデルのツイッギーを模した「ツイッギーそっくりコンテスト」に出場するシーンがあった。時代ごとのファッションや文化は、作品に奥行きを持たせる重要な要素である。

 当時のカルチャーとファッションをキャラクターの個性に絡め瑞々しく表現するるい編は、特にこうしたエッセンスをマッシュアップして華やかな映像で魅せることに長けている。視聴者は当時の空気を感じながら、ノスタルジーとエモに駆られるように作品の世界にのめりこんでしまう。またファッション業界の“リバイバルブーム”と重なり、現在のトレンドがミニ丈再燃など60年代を意識するものとなっていることから、現代の若者にも親近感を持たせることができているのではないだろうか。

 
 
 
 
 
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 今やるいやベリー、ジョー、トミーのルックは“一昔前”では片付けられない魅力を放っているのだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

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