ファイルーズあいの「オラオラ」も必聴! 『ストーンオーシャン』が“今”映像化された意義

 アニメ『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』が、年明けより地上波での放送もスタート。1月21日に第3話「面会人 その1」が放送される。

 まず、前提にあるのが、2021年12月1日よりNetflixにて第1話~第12話までが全世界独占先行配信されている中での地上波放送であるということ。この1カ月近くは、まるで『シン・エヴァンゲリオン劇場版』公開当時のように、SNSはネタバレ厳禁なムードであったが、このアニメ放送によってファンが実況視聴し合う「確認」にも似た概念が生まれている。もちろんそれは一部の視聴者であり、中には先行配信をあえて我慢して、1話1話テレビ放送で楽しみたいというファンも大勢いるだろう。そして、今回の『ストーンオーシャン』で、『ジョジョ』に初めて触れるという人もきっと。

 Netflixでの先行配信とテレビ放送の間にあったのは、ドラマ『岸辺露伴は動かない』(NHK総合)。YouTubeで公開になっているWEBラジオ「オラオラジオS」では、リスナーの『ジョジョ』との出会いを紹介していくコーナーがあるが、そうした一人ひとりのエピソードを聞いていてもあらゆるコンテンツが入り口として『ジョジョ』へと繋がっているのだと、改めて思い知ったのだ。

 その入り口として『ストーンオーシャン』は適したパートだと言える。原作コミックスの巻数が『ストーンオーシャン』から再び「1巻(64巻)」にリセットされたことはその表れとも取れるが、空条徐倫が弁護士と恋人・ロメオに騙され15年の刑務所暮らしが確定するまでの、導入部分のサスペンスとしての面白さは『ジョジョ』シリーズの中でも群を抜いているからだ。

 「スタンド」「ジョースター家の血統」といった前知識なしでも楽しめる/見せられるという点では、ドラマ『岸辺露伴は動かない』のスタンスにも近いのかもしれない。それに加えて、女性を『ジョジョ』の主人公に置いた物語ということも現代にマッチしている。『ストーンオーシャン』が『週刊少年ジャンプ』で連載を開始したのは、2000年。まだまだ「ジェンダー」「多様性」といった言葉が世間一般には浸透していない、今から20年以上も前のことである。

 原作者の荒木飛呂彦は、『ストーンオーシャン』の主人公を女性にした理由を、顔面にパンチをくらうからもしれないし、ドブの中をはいずり回り、大股開きでビルの上から落っこちるかもしれない、でもそのギャップが逆に考えてみるとおもしろいかもと思ったと綴っている(『ストーンオーシャン』コミックス1巻より)。荒木の構想通りに、徐倫は州立グリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所にて様々な逆境を前に、強靭な精神性、やがては荒木が記してもいる「聖母マリア様のような大きな人間愛を持つ人」へと成長していく。時代を先取ったその先鋭的視点は、ジョナサン・ジョースターという英国貴族を最初の主人公に据えたところから一貫している。

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