『岸辺露伴は動かない』アニメも実写も続編希望! 作品から伝わる原作への愛と挑戦の意志

『岸辺露伴』アニメも実写も続編希望!

 2020年12月、高橋一生を主演に実写化された『岸辺露伴は動かない』(NHK総合)が「2021年1月度ギャラクシー賞月間賞」を受賞、2月18日からはアニメ『岸辺露伴は動かない』がNetflixにて全世界独占配信を開始、NetflixのTVCMとしてアニメ『岸辺露伴は動かない』が放送と、2021年に入っても岸辺露伴の話題が止まらない。

『岸辺露伴は動かない』オフィシャル予告編 - Netflix

 『岸辺露伴は動かない』は、荒木飛呂彦による『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズに登場するマンガ家の岸辺露伴が、取材先で見聞きした奇妙な体験を描く連作シリーズ。今回、Netflixで配信されているのは、過去にOVAとしてアニメ化された『懺悔室』『六壁坂』『富豪村』『ザ・ラン』の4作品である。

 これらのエピソードで露伴が対するのは、「怨霊に取り憑かれても諦めず、孤独に人生を前向きに生きる男」(『懺悔室』)、「全ての世話を人間にさせ、自分は労働も責任も苦労も何も背負わず、子孫だけを残すのを目的とした妖怪」(『六壁坂』)、「山の神々」(『富豪村』)、「筋肉の神・ヘルメス神に取り憑かれた男」(『ザ・ラン』)とどれもスタンド使いではない。しかし、タイトルの「動かない」が示すように、物語のナビゲーターとして露伴から語られるのは、スタンド使いと同等もしくはそれ以上に恐ろしい、取材という名の体験記である。

 『ジョジョ』のアニメシリーズ同様、『岸辺露伴は動かない』でも演出手法として用いられているのが、日常から非日常に切り替わる瞬間の変化。「ゴゴゴゴゴ」と奇妙な出来事が起こり始めるその狭間と言えば分かりやすいだろうか。

 例えば、『懺悔室』では空は赤に、雲は青となり、『六壁坂』では逆にモノトーンとなる、“荒木イズム”を感じさせる大胆なカラーリング。ゆらゆらと言葉巧みに露伴に迫り来る一究と山の神の『富豪村』、トレッドミルで露伴にリベンジマッチを仕掛ける橋本陽馬の『ザ・ラン』と、後半にかけて作画の線量が爆発的に増えていくところも全作品に共通している。

 『富豪村』は実写でもアニメでも唯一描かれた『岸辺露伴は動かない』を代表するエピソードとなった。実写版における「自分で強いと思ってるやつ=一究」に向けた「だが断る」は、ファンからも高く評価されたオリジナル要素であった。アニメにも実写にも共通しているのは、原作に敬意を払いながら、それぞれの立場からどのように見せられるかというスタッフ陣の作品への愛と挑戦の意志である。

 アニメ版は実写版に比べると基本、原作に忠実であるが、それでもオリジナル要素が多分に盛り込まれてもいる。まず一つに、エピソードの聞き役として、広瀬康一をはじめとした第4部「ダイヤモンドは砕けない」の登場人物が多く登場すること。

 原作でも『六壁坂』には小林玉美と音石明が露伴にサインをねだりに来たりはする。けれど、康一と山岸由花子の相変わらずののろけが見られたり、支倉未起隆が妖怪六壁坂の存在について「オリオン星系に似たような生物がいた」と話すのはアニメオリジナル。

 中でも、『懺悔室』の導入部分で康一がイタリアに行くからヘブンズ・ドアーの能力でイタリア語を話せるようにしてほしいと露伴に頼みに来るのは、第5部『黄金の風』の冒頭と繋がるシーンであり、『富豪村』のラストで虹村億泰の父親に興味を持つもヘブンズ・ドアーの能力でその姿を治してほしいと言われ「だが、断る」と返すのは、ファンサービスといったところだろうか。

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