ジョス・ウェドン監督、ガル・ガドットらの告発に反論 「私は人を脅したりしない」
『ジャスティス・リーグ』や『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』で監督を務めたジョス・ウェドンが、1月17日(アメリカ現地時間)に公開されたNew York誌のインタビューのなかで、過去の複数の不祥事疑惑について言及した。
ウェドンは以前より、ガル・ガドットやレイ・フィッシャーなど、『ジャスティス・リーグ』の出演者をはじめ、多くの俳優から、撮影現場での態度や言動について告発されていた(参考:ガル・ガドット、ジョス・ウェドン監督から脅迫された 他キャストも抗議する事の顛末とは )。
ガドットは、ウェドンに「私が何かしたら、彼は私のキャリアを悲惨なものにしてやる」と言われ、自身のキャリアを脅されたことを主張していた。彼女の主張に対しウェドンは、「私は人を脅したりしない。誰がそんなことをするというのですか」と否定し、「英語は彼女の母国語ではないし、私の物言いは大げさで鬱陶しく感じられやすい」と述べた。
またウェドンは、ガドットがカットしたいというシーンについて、「それをカットするには自分(ウェドン)を線路に縛りつけて電車に轢かせなければいけない」と冗談を言ったところ、「彼女が、“自分の死体”のことや私が“彼女を”線路に縛りつけるようなことを言われたと勘違いしているのを第三者から聞いた」と、ガドットに誤解されたとして主張。ウェドンの発言に対し、New York誌から連絡を受けたガドットは、「私は(彼の言った言葉を)完全に理解しています」と異議を唱えている。
ガドットより以前に、ウェドンに対し告発していたフィッシャーは、「ジョス・ウェドンの撮影現場でのキャストやクルーの扱いは酷く、虐待的で、プロとして不適切であり、絶対に許されるのもではありません」と主張しており、自身の肌の色が明るくされたことや、自身の演じたサイボーグの出演が大幅にカットされたことに対し、懸念を抱いていた。
フィッシャーは、シーンカットについてウェドンに意見を述べようとすると、「いま、私が意見を聞いているように思えたとして、実際私は誰からも意見を聞くのは好きではない。たとえロバート・ダウニー・Jr.からでも」と言われたという。
ウェドンによる『ジャスティス・リーグ』では大幅にカットされていたサイボーグのシーン。その後、2020年3月には、HBO Maxでジャック・スナイダー監督による『ジャスティス・リーグ』の4時間カット版『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』を公開された。フィッシャーの出演が多く復元され、フィッシャーは観客から「映画の重要な役割を果たした」と賞賛された。
フィッシャーの主張に対しウェドンは、肌の色のトーンを上げたのは、作品全体を通して映像のトーンを明るくしたためであるとし、サイボーグのシーンカットについては、「論理的に意味をなさないと思った」ことと、フィッシャーがいい演技をしたとは思えなかったためであると述べた。
ウェドンはフィッシャーの主張を否定し、どれも「真実ではなく議論するに値しない」と述べている。加えて、フィッシャーの行為は悪意によるもので、スナイダーカット版が公開される前に、ウェドンの評判を落とし、スナイダーの評判を良くするものだと主張し、「私たちは、悪意のある力について話しているのです。両方の意味で“悪い俳優”について話しています」と述べた。
フィッシャーは、New York誌の記事公開が1月第3月曜日の祝日であったこともあり、自身のTwitterで、「結局ジョス・ウェドンは、すべてを終わりとして示しているようだ……今日までのすべての嘘や悪ふざけを扱うよりも、マーティン・ルーサー・キング牧師を祝う。明日も仕事は続く」とコメントしている。
Looks like Joss Whedon got to direct an endgame after all…
Rather than address all of the lies and buffoonery today—I will be celebrating the legacy of Reverend Dr. Martin Luther King Jr.
Tomorrow the work continues.#MLKDay
A>E
— Ray Fisher (@ray8fisher) January 17, 2022
また、ウェドンが一躍有名となったともいえる、ドラマシリーズ『バフィー〜恋する十字架〜』で主演を務めたカリスマ・カーペンターも、番組撮影中に「反感的で毒のある」行動を取ったこと、同シリーズのスピンオフ作品『エンジェル』の製作中に、妊娠したカーペンターに対し「太った」「産むつもりなのか」など、ハラスメントにあたる言動を取ったこと、宗教的信念を否定したこと、出産後のシーズンについて降板させられたことなどについて非難している。
ウェドンは、カーペンターに対する言動について、「配慮に欠けていた」と話しているが、彼女のことを太ったと言ったことはないと否定している。また、「カリスマとの経験のほとんどは、楽しくて魅力的なものだった。彼女は、時々セリフに苦労していましたが、彼女ほど決め台詞が強く決まる人はほかにいなかった」と語っている。
ウェドンのキャリアは、フィッシャーの告発以来、急降下している。ウェドンは、HBOシリーズのSFドラマ『ザ・ネバーズ』の企画・製作から降板し、今後のプロジェクトは未定となっている。
参照記事
Joss Whedon Finally Responds to Claims From ‘Justice League’ Stars Ray Fisher, Gal Gadot|THE HOLLYWOOD REPORTER
Joss Whedon Breaks Silence on Misconduct Allegations, Calls Ray Fisher ‘A Bad Actor in Both Senses’|VARIETY
Joss Whedon Opens Up About Past Misconduct Allegations; ‘Justice League’ Actor Ray Fisher Responds|Deadline
The Undoing of Joss Whedon |Vulture