ガル・ガドット、ジョス・ウェドン監督から脅迫された 他キャストも抗議する事の顛末とは

ガル・ガドット、ジョス・ウェドン監督から脅迫された 他キャストも抗議する事の顛末とは

 DCユニバースでワンダーウーマンとして活躍する女優ガル・ガドットが、先日行われたイスラエルのN12ニュースでのインタビューにて、『ジャスティス・リーグ』を監督したジョス・ウェドンから自身のキャリアを脅かされたことを告白した。

 実はジョス・ウェドンの問題が上がってきたことは、今に始まったことではない。サイボーグ役で同作に出演していたレイ・フィッシャーが2020年6月に自身のTwitterで、監督に対して以下のように告発していた。

「ジョス・ウェドンのセットでのキャストやクルーの扱いは酷く、虐待的で、アンプロフェッショナルで、絶対許されるものではありません。ウェドンはそういった行動を、多くの点でジェフ・ジョーンズとジョン・バーグによって許されてきた。説明責任>エンターテインメント」

 そして今回、インタビュアーがガドットに以前ニュースでも話題になっていたウェドンの発言について「彼はあなたに『ただかわいくしてセリフを言っているだけでいい』とまで言ったんですよね。そんなことを言った彼をただじゃ済ませないとお考えになったと思いますが」と聞くと、ガドットは「はい」と答えて以下のように語った。

「私が彼から受けたのは基本的にキャリアへの脅迫です。私が何かしたら、彼は私のキャリアを悲惨なものにさせてやると言ったんです。当時の私はその場をやり過ごしました」

 これは完全にレイ・フィッシャーが指摘していた、ウェドンの“セットでの問題的な行動”にあたり、彼の発言を裏付けるものとなった。そしてレイ・フィッシャーはこれまでもずっと個人のTwitterで、ワーナー社に対して、直ちにウェドンや他のプロデューサーに対する調査を行い、正義を下すことを求めてきたのだ。先に紹介したツイートの文末にある「Accountability>Entertainment(説明責任>エンターテイメント)」は、それ以降彼の多くのツイートの文末やプロフィール文に「A>E」として登場し、業界内で揉み消されてきた卑劣な行いを全面的に叩きのめそうとしている。「ザック・スナイダーカット」について揉めた時も、彼や他のキャストがスナイダーを全面的に支持したことが、どれだけウェドン版『ジャスティス・リーグ』が彼らにとって不当な映画であったかを物語っている。アクアマン役のジェイソン・モモアもフィッシャーに続き、以下の文面をInstagramに投稿していた。

 
 
 
 
 
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ジェイソン・モモア公式Instagramより

「彼のクソみたいな行動は止めさせるべきであり、レイ・フィッシャーや同じような経験をワーナー・ブラザースの監視下で受けてきた人々に目を向けるべきで、正式な調査がされるべきだ。俺はただ、俺の許可なく嘘のFrosty(映画)の発表を、レイが『ジャスティス・リーグ』の再撮影のときに俺たちが受けたクソみたいな仕打ちを告発するのに被せてぶつけたことを、あり得ないと感じている」

 この「Frosty」とは、ワーナーが目下製作中の実写映画化企画『Frosty the Snowman(原題)』のことを指している。モモアは同作で雪だるまのフロスティの声優を務めることが発表されているのだが、その発表のタイミングがモモア曰く、レイ・フィッシャーのさらなる『ジャスティス・リーグ』に関する告発から世間の目を逸らすことを目的に被せたというわけだ。しかし、この“fake(嘘)”という彼の発言に関しては、一応モモアが実際にフロスティ役としてプロダクションに名を連ねていることから、その真意は掴みきれない。

 そして年末にガル・ガドットも一度、「ウェドンとの仕事は“ベスト”ではなかった」と告白しているが(参照:Gal Gadot Says Experience with Joss Whedon ‘Wasn’t the Best One’|IndieWire)、それ以上の詳細を話すことがなかった。しかし、このたびのイスラエルのインタビューで、実際に監督と彼女の間に何が起きたかが明かされた、というわけだ。

 ガル・ガドットは何度も映画に対する懸念点を挙げていた。例えば、彼女の演じるワンダーウーマンが、単独映画に比べて『ジャスティス・リーグ』で必要以上にアグレッシブなキャラクターに変えられている点だ。彼女は他作品との繋がりを重要視していた。そして劇中にガル・ガドットの望まない台詞があり、彼女がそれを抗議すると、言われた通りに台詞を言わなければキャリアを終わらせると脅されたというのだ。しかも、タチが悪いことにその矛先は『ワンダーウーマン』の監督パティ・ジェンキンスにも向けられそうになったらしい。結局、ガドットは彼に従ったわけだが、この一部始終を目撃した人物が後の調査で「ジョスはこのことを自慢していた。彼は彼女に、俺がライターでお前はただ黙ってセリフを言えばいいと言ったそうです。そしてそのおかげで彼女は映画の中でとても阿保っぽく見せられたのです」と語った。

 レイ・フィッシャーの抗議もあって、その後ワーナーメディアはウェドンに対して本当にセットで不適切な行動があったか調査をした。しかしここでも紆余曲折(ワーナー側が諸々を隠蔽しようとした)があり、何度もフィッシャーが根気強く声を上げ続けたことで、その後ワーナーもといHBOから新シリーズ『The Never(原題)』を任されていたウェドンは、2020年11月にプロジェクトから外される。そこには、フィッシャーに続いてウェドンが過去に手がけたドラマ『バフィー 恋する十字架』の出演者からの複数の告発も加勢しており、ウェドンが何十年にもわたって不適切な行動を撮影現場でとってきたことが窺える。キャストを壁に叩きつけるなどの暴力もあったようで、心底やばい話しか出てこない。それが今まで黙らせられていたという事実に、ゾッとしてしまう。しかし、今でもフィッシャーは彼の行動を見て見ぬふりをして自由にやらせた関係者の実名を挙げて、説明と処分を望んでいる。もちろん、謝罪も。

 このたびのガドットの発言がウェドンの今後のキャリアに大きな影響を与える決定打となったことは確かだ。撮影現場で起こるこういった不当な仕打ちはどの国にも存在する。特にフィッシャーはガドットやモモアと違い、単独作品という後ろ盾がないため、発言には彼らに比べて大きなリスクを伴っていた。しかし、それを恐れずに抗議し続けた結果が“正義”という形で現れることは、世界中の撮影現場に良い影響を与えることだろう。

■アナイス(ANAIS)
映画ライター。幼少期はQueenを聞きながら化石掘りをして過ごした、恐竜とポップカルチャーをこよなく愛するナードなミックス。レビューやコラム、インタビュー記事を執筆する。InstagramTwitter

■リリース情報
『ジャスティス・リーグ』
ブルーレイ&DVD発売中
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【初回仕様】3D&2D ブルーレイセット(2枚組/ブックレット付):6,990円(税別)
【初回仕様】<4K ULTRA HD&3D&2D ブルーレイセット>(3枚組/ブックレット付):7,990円(税別)
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(c)JUSTICE LEAGUE and all related characters and elements are trademarks of and (c)DC Comics. (c)2017 Warner Bros. Entertainment Inc. and RatPac-Dune Entertainment LLC. All rights reserved.

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