『真犯人フラグ』に『MIU404』も 動画配信者がドラマにもたらす新しい刺激

動画配信者がドラマにもたらす新しい刺激

 令和のドラマでは、YouTuberのような“動画配信者(ライバー)”の存在が、ストーリーに新しい刺激を与えている。今後、動画配信者がドラマにどのようなに絡んでいくのか、『MIU404』(TBS系)、『真犯人フラグ』(日本テレビ系)、韓国ドラマ『地獄が呼んでいる』(Netflix)の3作品から考察したい。

都合良く利用されたREC

 まず『MIU404』に登場した特派員REC(渡邊圭祐)から。RECは序盤こそ“底辺動画配信者”として、外野からやいのやいの言うだけだったが、ストーリー後半では失踪中の高校生・成川(鈴鹿央士) と接触。さらには、久住(菅田将暉) から情報を得るなど、ストーリーにガッツリ絡んでいく。

 実際、裏カジノ経営者・エトリ(水橋研二)から身を隠している羽野麦(黒川智花)の捜索協力を成川から依頼され、ITスキルを巧みに使って羽野を見つけ出すことに成功。REC自身は「真実を知るため」「正義のため」に協力したのだろうが、結果的には羽野だけでなく成川も一時は死の寸前まで追い詰めることになった。

 RECは終始久住に利用されていたが、正義感が強く、フットワークが軽く、認知度が高く、なにより使い捨てやすい動画配信者は悪役にとって便利な駒なのだろう。“悪役に都合良く操られる動画配信者”というパターンは鉄板になるのではないか。

 話は変わるが、「NOW TUBE」を主戦場にしていたRECこと渡邊圭祐だが、「TBS公式YouTuboo」というYouTubeチャンネル内の「MIUチャンネル」というコーナーにて、『MIU404』の裏話を語っている。共演者の撮影時の様子だけでなく、「なぜ着物だったのか?」など幅広いテーマについて、冗談を交えながら話す渡邊の姿は好感が持てて仕方ない。RECは応援したくないキャラではあるが、「MIUチャンネル」を見てしまうとどうも嫌いになり切れない自分がいる。

『真犯人フラグ』ぷろびんは実際にYouTubeに登場

 現在放送されているドラマでは『真犯人フラグ』で動画配信者が大暴れしている。同作内ではYouTubeの「ぷろびんチャンネル」にて、徳竹肇(柄本時生)が、相良凌介(西島秀俊)の妻子失踪事件に関する考察動画を定期的に投稿。「凌介の勤務先である亀田運輸は人身売買をしている」「二宮瑞穂(芳根京子)は凌介と不倫している」など、名誉毀損レベルの主張を繰り返し、世論を煽って凌介たちを精神的に追い詰める。

 ただ、凌介に本格的に疑いの目が向くようになり、「ぷろびんチャンネル」の動画内容に意外性を感じられなくなったからなのか、序盤ほどの勢いは徳竹から感じられない。いよいよ“真相編”に突入したことを受け、第1部の後半から登場したキャラも存在感を発揮する中、徳竹がどのようなアクセントを加えるのか期待したい。

 また、「ぷろびんチャンネル」は実際のYouTubeにドラマ内の動画をアップしている、という仕掛けは非常に面白い。作中では少ししか映らない動画をフル尺で見れるだけでなく、最近は人気YouTuber・東海オンエアとのコラボ動画もアップ。ドラマ内のキャラが現実に降り立ったような感覚を味わえるのは、ひとえに動画配信者という役の懐の広さだろう。

 『真犯人フラグ』ではストーリーだけでなく、作品を飛び出す切り口を見せたが、“メディアミックス”という視点でも動画配信者の使い勝手は重宝されるかもしれない。

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