4月には劇場版も公開 改めて振り返る『オッドタクシー』ブレイクの軌跡と3つの魅力

『オッドタクシー』ブレイクの軌跡と3つの魅力

 2021年の12月25日——作中で“オッドタクシー作戦”が決行された日付に合わせて、クリスマスプレゼントと言わんばかりに届けられた『オッドタクシー』映画化の報は大きな反響を呼んだ。その映画の公開前に、改めて2021年を代表する傑作の現在までの軌跡と魅力を振り返ろう。

 『オッドタクシー』の放送/配信開始当初、キャスティングこそユニークではあるもののオリジナル作品だったこともあってか注目度は決して高くなかった。作品をご覧になった人であれば、(2周目であればともかく)第1話や第2話は異質さこそ感じられるもののまだ物語のほんの序章であり、その時点で多くのファンを惹きつけなかったことも理解できるだろう。しかし4月末の第4話「田中革命」辺りからディープなアニメファンの間で人気が上昇し、サスペンス色が濃くなる中盤以降にSNS上で口コミが広がってその人気は不動のものとなった。

 作中の承認欲求旺盛なSNS大好き大学生の樺沢太一ではないが、Twitter公式アカウントのフォロワー数の推移を見るとこの流れはわかりやすい。

4月1日時点:約6,000人
5月1日時点:約12,000人
6月1日時点:約18,000人
7月1日時点:約26,000人

 このように開始前後で毎月約6,000人ずつコンスタントに増えている。驚きなのが、2022年1月上旬現在のフォロワー数が約53,000人とTVシリーズ終了直後から倍増していること。1クールの物語を終えた7月以降も評判を聞きつけてチェックし始めた視聴者を次々に虜にし、多くのファンを獲得していったのだ。

 なお、この高評価は国内に限定されたものではない。月間1800万人以上が利用する世界最大級のアニメ・マンガデータベース「MyAnimeList」において、『オッドタクシー』はユーザーによる平均評点(スコア)で10点中8.77点と、2021年TVアニメでトップ5入り。歴代アニメ作品でも34位となっている。

 この異例の盛り上がりをもっとも体感できたのが、Blu-ray BOXに関するプロジェクトだ。当初はBlu-ray BOXの発売予定がなかった『オッドタクシー』だが、最終回直後に300セットの申し込みがあれば発売決定、さらに申し込み数に応じて特典が追加されるというプロジェクトをスタートする。しかし300セットの申し込みは申し込み開始当日に早々と達成し、最終的には6038セットの申し込みがあったそうだ。

 ほかにも、ヒット作らしいグッズ展開や他作品などとのコラボレーションが現在に至るまで行われている『オッドタクシー』。こうした人気の広がりに一役買ったのが、そのユニークな見た目だろう。動物をモチーフにしたキャラクターは全体的に線が少なくシンプル。このおかげで、普段アニメを観ない層にとっても親しみやすいというのは現在放送中の人気作品『王様ランキング』と同様だ。

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