中村倫也&柄本佑、2021年を代表するエンターテイナーに? “年男”である2人の共通点とは
「エンターテイナー」と聞いた際、誰を思い浮かべるだろうか。日本のこれまでの“シーン”を振り返ってみれば、誰の心の中にも、“その時代を背負うエンターテイナー”がいるのではないかと思う。世代的に筆者の場合は完全に後追いではあるが、『男はつらいよ』シリーズの看板である渥美清こそまさに稀代のエンターテイナー。今年の干支は「寅」であり、「寅さんイヤー」として、彼が同シリーズで演じた「寅さん」がフィーチャーされることも期待してしまう……そう、今年は「寅年」なのだ。そこで、現代トップの「エンターテイナー」であり、“今年の顔”となりそうな「年男」について考えた際、二人の男の名を挙げずにはいられない。中村倫也と柄本佑である。なぜこの二人なのか、その理由を記していきたい。
2021年も相変わらずのペースで仕事を重ね、エンタメ界における存在感を十分に示した中村倫也。2020年には、彼の代表作だといえる主演映画『水曜日が消えた』と『人数の町』の公開があったほか、プライム帯での連続ドラマで主演を務めたこともあり、いわゆる「主演俳優」のイメージが強くあった。そのため、2021年の中村の活動に物足りなさを感じてしまった方もいるかもしれない。とはいえ、『ファーストラヴ』では物語のカギを握る主要な役どころを担っていたし、『騙し絵の牙』やドラマ『コントが始まる』(日本テレビ系)では限られた出番の中で、彼に与えられた役割をまっとうしていたと思う。限られた出番で最良の演技を残すことができるのは、それ相応の経験値があってこそ。もちろん、主演ドラマ『珈琲いかがでしょう』(テレビ東京系)で演じた“静と動”の二面性を持つキャラクターは、中村の得意とするものであっただろう。
それに昨年の中村は、劇団☆新感線の『狐晴明九尾狩』で主演を張っていたことが非常に大きいでのはないだろうか。コロナ禍によっていまだ不安定な日々が続いているが、同作の上演時期は特にそう。しかも前年には主演舞台『ケンジトシ』が延期になってしまっている。コンスタントに舞台への出演を続けているとはいえ、この環境下で演劇のフィールドでの闘いを選び(恐らく、かなり早い段階から出演は決まっていたと思うが)、座長として作品を成功に導いた経験は、今後の活動に強く反映されてくるのではないだろうか。
この2022年は、バカリズムが脚本を担当した映画『ウェディング・ハイ』でメインの登場人物の一人を演じており、アニメの制作現場の様子を描いた『ハケンアニメ!』では、『水曜日が消えた』の吉野耕平監督と再タッグを組んでいる。さらに、第一報が出て以降、多方面から注目を集めている配信作品『仮面ライダーBLACK SUN』では主人公の一人、秋月信彦/仮面ライダーSHADOWMOONとして世に姿を現す。現在の中村の活躍ぶりに加え、日本が世界に誇るヒーローを演じ上げれば、まさに“この時代を背負うエンターテイナー”の一人となるだろう。