『おかえりモネ』でも名を知らしめた清水尋也 代表作で触れる底知れぬ魅力の一端

清水尋也の底知れぬ魅力の一端

 2021年の清水尋也もすごかったーー。

 毎年、自身の代表作となるような作品に参加している彼は、『東京リベンジャーズ』と『スパゲティコード・ラブ』というまったく方向性の異なる群像劇で同世代の若手俳優たちとともに並び、『おかえりモネ』(NHK総合)で朝ドラ初出演。“マモちゃん”こと若手気象キャスターの内田衛役を好演し、国民的ドラマでさらにその名を知らしめたことだろう。『映画大好きポンポさん』では初めて声優に挑み、見事に主演として作品が世に出ることに貢献した。ここでは、そんな清水がこれまでに出演してきたオススメ映画3本を紹介したい。

『渇き。』(2014年)

 弱冠22歳にしてすでに相当な数の出演作を持つ清水。そんな彼にとって『渇き。』とは、キャリア初期の頃に参加した作品であり、同時に彼の代表作の一つでもある。説明不要の作品かもしれないが、彼をまだ知ったばかりの人にはすぐに鑑賞してほしい作品だ。演じているのは凄惨ないじめに遭う「ボク」というキャラクターで、モノローグによって観客を作品世界に誘う役割も担っている。主演の役所広司を筆頭に、妻夫木聡やオダギリジョー、中谷美紀など、若手からベテランまで錚々たるメンツが並んだ本作への清水の出演は、映画初出演の小松菜奈とともに大抜擢と呼べるもの。劇薬映画と称されるだけあって、作品そのものの手触りはもちろん、やはり「ボク」がいじめられるシーンは見ていて苦しいが、未見の方には触れてほしい。ちなみに、翌年公開された『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』では惨たらしいいじめに興じる不良を演じており、これまた見ていて苦しいが、清水の演技の振れ幅を知ることができるだろう。

『ミスミソウ』(2018年)

『ミスミソウ』(c)押切蓮介/双葉社 (c)2017「ミスミソウ」製作委員会

 清水が“性格俳優”の一面を垣間見せたのが『ミスミソウ』である。本作での彼は、非常にアクの強い少年を演じている。物語は、東京から田舎の中学校に転校してきた主人公・春花(山田杏奈)が陰惨ないじめに遭い、果てはいじめグループの連中によって家族を焼き殺され、命懸けで復讐を実行していくというもの。この春花に好意を寄せ、精神的な支えとなる少年・晄に清水は扮している。いつも彼だけが春花に優しく、その存在が映画の温度を少しだけ上げている印象。そんな好男子かと思いきや……実は彼は異常者なのである。『渇き。』とはまた異なるタイプの、勇気とエネルギーが鑑賞する際に必要となる作品ではあるが、晄の異常性や暴力性が露呈していくさまは絶品。ここから清水の力量を知ることができるだろう。

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