長内那由多の「2021年 年間ベスト海外ドラマTOP10」 映画監督が生んだ傑作群

長内那由多の「2021年ベスト海外ドラマ」
『メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実』(c)2021 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO(R)and all related programs are the property of Home Box Office, Inc.

 今や俳優のベストワークはTVシリーズにある、と言い続けて早数年。『ある結婚の風景』のオスカー・アイザック、『メア・オブ・イーストタウン』のケイト・ウィンスレットがキャリアを更新し、昨年の『クイーンズ・ギャンビット』のアニャ・テイラー=ジョイに続いて今年は『メイドの手帖』でマーガレット・クアリーが世界的なブレイクを果たした。『メイドの手帖』はパートナーからのDVや、メンタルヘルス、貧困といったハードな問題を扱った力作であり、これを世界に向けてリーチできるところにNetflixの強さがある。

 映画監督もTVシリーズで新たな傑作を生み出す時代だ。バリー・ジェンキンスは『地下鉄道』によって現代アメリカ映画界において最も重要な監督の1人となった。一方、マイク・フラナガンは映画館のスクリーンに現れることなく、Netflixでその才能を進化させ続けている映像作家の1人である。私的なナラティブを全7話のホラーへと昇華し、マイケル・フィモナリによる撮影は最終回で今年最高峰に到達した。しかし、そんな傑作もNetflixの膨大なアーカイブの中では他の作品と並列化されてしまうのである。未だ観ぬ人のため、僕のリストにも意味があると思いたい。

■配信情報
『真夜中のミサ』
Netflixにて配信中
原作・制作:マイク・フラナガン
出演:ケイト・シーゲル、ザック・ギルフォード、ハミッシュ・リンクレイター、ヘンリー・トーマスほか
COURTESY OF NETFLIX (c)2021

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる