『ハンオシ』坂口健太郎から清野菜名へ“確認”のハグ あまりに不器用で真面目な百瀬の選択

『ハンオシ』不器用で真面目な百瀬の選択

「僕は明葉さんじゃなきゃダメなんだって」
「明葉さん、これからも一緒にいてください」

 これが愛の告白ではなく、あくまで“Like”表現で”最高の友達”の意だとは……さすが“キテレツ白アスパラ野郎”こと百瀬(坂口健太郎)だ。百瀬のキテレツ鈍感ぶりが炸裂し、あらぬ方向に話が向かった『婚姻届に判を捺しただけですが』(TBS系)第8話。

 牧原(高杉真宙)が言うように、“偽装結婚”というのは双方が割り切った上で、共に特別な好意も思い入れもなく、“ギブ&テイク”“利害関係の一致”の中に初めて成立するものだ。しかし、生活を共にしながらその絶妙なバランスを保つのはなかなか難しい。最も辛いのは片方だけの想いが強くなってしまった時だ。

 明葉(清野菜名)の場合、その一番辛くモヤモヤする時期を自分の本心を決して相手に悟られまいとなんとか乗り越え、不安いっぱいの中ようやく自分の気持ちを本人に打ち明け、相手も同じ気持ちだったと確認し合えたと思っていたのに……。それがどうやら百瀬の中では、離婚ではなくあくまで偽装結婚の継続、維持のための発言だったなんて、もうあまりに八方塞がり、暖簾に腕押しすぎるだろう。

 頭でっかちになりすぎている百瀬と打つ手なしの明葉、そして多かれ少なかれこじらせてしまっている我々視聴者にとっても、彼女の祖母の言葉が何かヒントになりそうだ。

「一人が寂しいんじゃない。好きな人と一緒にいられないのが寂しいんだなって」

 未婚者も珍しくない今、結婚していようがいまいが誰に後ろ指を指されるでもなく、結婚しなくてもいい理由なんていくらでも挙げられる。自由で気楽な一人暮らしは快適でみすみす手放すのが惜しいという人も少なくないだろう。そもそも百瀬は元々一人で過ごすのが好きだし、明葉も当初は一生独身主義を掲げていた。そんな百瀬が言うのだ、「明葉さんといると他人といるって感じがしないんですよね。むしろいてくれると安心するというか」「僕の気持ちは一人ぼっちじゃなくなった」と。これこそ1人でも生きていけるしそれなりに充実した楽しい人生を歩んでいける、“結婚”が必要最低条件ではない大人が、それでも結婚しようと思える理由なのかもしれない。

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