玉置玲央、猪塚健太、古川雄大 舞台とドラマで“色気”を放つ30代俳優たち
テレビドラマ、映画、舞台、ミュージカルと様々なフィールドで活躍する俳優たち。中には堺雅人や阿部サダヲ、藤原竜也など、若い頃に舞台で力をつけた俳優が映像作品で強いインパクトを残すこともある。
広い会場にいる観客一人ひとりを、身体表現と独自の発声方法によりステージに惹きつける力が求められる舞台。一定期間おなじ演目を上演するとはいえ、公演毎に観客の反応も違えば、時に予期せぬハプニングが起こることも。しかし、やり直しはきかない。観客の集中力を途切れさせないよう、役を演じながらのフレキシブルな対応が必要とされるのだ。
そんな舞台で鍛え上げられた俳優は映像でも大いに存在感を放ち、また幾度も緊張感張り詰める場面を乗り越えてきた独特の落ち着きと色気がある。今回は舞台と映像の二軸で活動し、さらなるブレイクが期待される30代俳優をご紹介したい。
玉置玲央
まずは、10月末で最終回を迎えた連続テレビ小説『おかえりモネ』(NHK総合)に出演していた玉置玲央。彼は演劇学科を卒業した後、中屋敷法仁主宰の劇団「柿喰う客」に所属し、以降舞台を中心に活躍してきた。自身でも演劇ユニットを立ち上げ、旗揚げ公演で演出や美術を手がけ賞を受賞するなど非凡な才能の持ち主だ。
そんな玉置は『おかえりモネ』出演以前も、大河ドラマ『真田丸』、『麒麟がくる』や『サギデカ』、『伝説のお母さん』などNHKドラマの常連で映像作品にも徐々に進出。その中でも最も大きな注目を集めたのは、2020年に放送された『恋する母たち』(TBS系)で演じたエリート弁護士・蒲原繁樹役だろう。繁樹は仲里依紗演じるまりの夫で3人の子どもに恵まれたにもかかわらず、森田望智演じる同僚と不倫。妻を見下し、モラハラ発言を繰り返す“ゲス夫”を怪演し話題となった。森田とはNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』でまったく違う役柄で再共演したのも記憶に新しい。
一方で、女性たちが惹かれるのもわからなくはない色気を感じた人も多いのではないだろうか。どこか浮遊感のある佇まいは、掴みどころがなくミステリアス。『おかえりモネ』で演じた記者・沢渡公平も若い女性に軽口を叩くお調子者だったが、どこか冷静に場を見渡す大人の余裕も感じさせた。記者としての情熱を前面に出すタイプのキャラクターではないものの、若い気象予報士たちの仕事ぶりに感化されていく目は見えない彼の変化を視聴者が察知できたのも玉置の確かな演技力があってこそ。玉置はそこにいるだけで何だか気になる存在として、ますます映像作品に欠かせない俳優となっていくだろう。
猪塚健太
大人の色気を放つ30代俳優といえば、今年ドラマに引っ張りだこの猪塚健太も外せない。猪塚は現在の事務所であるアミューズの若手俳優で結成された「劇団プレステージ」に2019年まで所属。『トミカヒーロー』シリーズ(テレビ東京ほか)で主演を務めたほか、若手俳優の登竜門と呼ばれる『ミュージカル・テニスの王子様』(2ndシーズン)で赤澤吉朗を演じ、知名度を上げた。
出演した映像作品の中では、2018年に出演した映画『娼年』が転機となる。猪塚が演じたのは、異質な性壁を持ったボーイズクラブのNO.1娼夫という役どころ。主演を務めた松坂桃李との過激なシーンに体当たりで挑んだ猪塚は、以降自身を解放するように一癖もふた癖もあるキャラクターに扮してきた。
FODオリジナルドラマ『ポルノグラファー』とその劇場版では、竹財輝之助演じる官能小説家に惑わされる純粋な大学生を演じ、濃厚なラブシーンにも挑戦。猪塚は一見正反対に思える爽やかさと色気を併せ持つ存在で、『今日から俺は!!』(日本テレビ系)での“黙っていれば”イケメンな数学教師から『高嶺のハナさん』(テレビ東京ほか)でのウザキャラだけどなぜか憎めないプレイボーイまで、タイプの違う魅力的な男性を演じることができる。
目力も強く人を惹きつける雰囲気を持った猪塚は、4月期『高嶺のハナさん』から始まり、『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS系)、『警視庁ひきこもり係』(テレビ朝日系)と今年はドラマに出ずっぱりで、今期は『凛子さんはシてみたい』(MBS/TBS)に出演。男性経験の少ない主人公に猛アタックをかけるモテ男・緋山余一を演じている。大人の余裕たっぷりで、女子憧れの主人公も密かに気になる存在だが、果たして良い男なのか悪い男なのかが掴めない。猪塚の謎めいた色気と、戸塚祥太演じる上坂と繰り広げる静かな恋のバトルにも注目してほしい。