『カムカムエヴリバディ』金太が最期に見た“夢”に涙 甲本雅裕が畳みかけた名演技

『カムカム』金太が最期に見た夢に涙

 結局、あの少年も来ていなければ算太も帰ってきていない。でも、もしかしたら本当に二人とも彼のもとに訪れていたのかもしれない。算太が話したおはぎ売りの話は、もしかしたら少年が本当にやっていたかもしれないし、算太も「寒い寒い」とすぐそこまで帰ってきているかもしれない。なにより、金太にとって娘の安子(上白石萌音)にあんこ炊きを教え、また二人でおはぎを売ったあの時間こそ、“夢”のような時間だったのではないだろうか。

 戦争は人々からたくさんのものを奪った。直接的に体に損傷がなくても、心は損傷している。神経が衰弱して命尽きてしまうことも珍しくはなかったが、金太は病み上がりでも寒い「たちばな」で寝泊まりすることにこだわっていた。算太がいつ帰ってきてもいいように、彼を待っていたから。最後、夢の中でした会話から、最後まで算太の金癖の悪さを心配していたことがわかる。だから、息子の姿に重なるあの少年に金に困らない方法を教えたのだ。本当は自分が教えてあげたかった。そして安子には、「たちばな」のあんこを託した金太。いまごろ向こう側で、ようやく再会できた小しずやひさ、杵太郎(大和田伸也)たちと居間でラジオを聞いて、笑っているに違いない。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

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