『ラジエーションハウスII』視聴者に響く広瀬アリスのメッセージ 四角関係にも動きあり?
3カ月前から貧血に近い症状を訴える高校生の乃愛(吉川愛)の検査を担当することになった裕乃(広瀬アリス)。検査直前に唯織(窪田正孝)が割って入り、乃愛がウィッグをしていることを見抜く。そしてそれを外した乃愛の髪は真っ白であり、骨密度検査の結果、骨粗鬆症であることがわかる。彼女は過度なダイエットによって栄養状態が足りなくなっていたのだ。そして裕乃は乃愛から、ダンスが好きでアイドルになりたいという夢と、妹への劣等感を抱いていることを打ち明けられるのである。
11月22日に放送された『ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~』(フジテレビ系)第8話は、過度なダイエットによってもたらされる健康へのダメージをひとつの軸として描く。SNSで投げつけられる誹謗中傷のコメントに自尊心を傷つけられ、身近な人物と比較して痩せることへ執着するあまり、自らの健康をないがしろにしてしまう乃愛。誰かと比較してしまうというストレスの大きなきっかけこそ共通しながらも、その表出の仕方や向き合い方がまるで異なる裕乃と乃愛の対比と共感が、今回のエピソードを動かしていくというわけだ。
ラジエーションハウスのなかで誰よりも美意識の高い威能(丸山智己)がつぶやく、「美しいってなんなんでしょう?」という疑問。昨今はありのままの自分を、というような風潮が高まっているとしても、自分自身が誰かよりも劣っていると思ってしまったら負のループから抜け出せなくなるのは人間の性であるし、何よりも美しくありたいという願望そのものは決して否定されるべきものではない。美というものが極めて主観的な感覚である以上、そこにいかにして自ら折り合いをつけていくかということが必要であり、乃愛のように健康を犠牲にしてしまったらもはや折り合いはついていない。何かを得るために、何かを失う必要はないのである。
「自分を大切にして」と乃愛に語りかける裕乃の言葉は、ものすごく当たり前のように思える言葉である反面、自分が健康な状態にいると思っている時には気付けないことが山のようにある。ましてや若い時には無茶をしてしまうことは誰にでも起こりうることであるわけで、そこでラジエーションハウスの面々はある重要なメッセージをまとめて乃愛に渡すように裕乃に託す。「骨が作られるのは10代まで」「いまどれだけ栄養を取るかで一生が決まっちゃう」。骨は人体を支え、臓器を守るなど人間には必要なあらゆる役割を果たす。どこからそれは、病院を支えて患者を守るラジエーションハウスとも似ているように思える。