森崎博之、ラップに挑戦する父親役に共感 「息子との関係性を改めて高めていきたいなと」

 TEAM NACSの森崎博之が主演を務めるイヤードラマ『父 THE MC』が、音声版サブスクリプションサービス「NUMA」にて11月19日より配信された。息子・俊彦との関係がうまくいっていない父・藤本大輔が、ひょんなことから息子とラップバトルに挑むことになる模様を描いた作品だ。主人公・藤本大輔を演じた森崎は、本作でラップにも挑戦している。自身も息子を持つ父親である森崎に、収録を終えた直後に話を聞いた。

挑戦したラップは「魂や感情をマイクにぶつけたイメージ」

ーーちょうど収録を終えられたばかりですが、率直な感想はいかがですか?

森崎博之(以下、森崎):今回は、弟分のように可愛がっている劇団スパイスガーデンの松尾英太郎くんが台本を書いていて、非常に強い結びつきを感じていたんです。依頼を頂戴して「これはやらなきゃならないな」というお仕事でした。お父さんがラッパーのMCになるというストーリーで、「また随分な設定を作りますわね……」と思ったんですけど(笑)、届いた台本を読んでいくうちに、「何だ、このハートフルな話は!」とすごく化けていったんですよね。それで今日、共演者の皆さんとお会いして、ラップのようにセッションを重ねてみて、最後はちょっと魂が震えました。息子役の(杉田)雷麟くんの最後のラップはグサグサきましたね。私も息子が二人いるんですが、その子たちの数年後の年齢なので、いまこの父役をできてよかったなと思いますし、自分の息子もきっとこうやって立派に巣立っていくのかと感じることができました。自分がかつて息子だったときの目線と、いまの父親としての目線、両方でグサグサと刺さるものを松尾くんが作ったんだなと、感心しました。ちょっと“えらいえらい”と頭を撫でてあげたいぐらいです(笑)。

ーー作品の“聴きどころ”に関して言うと、やはりラップのパートかと思います。収録の様子を拝見していて、特に終盤のラップパートにはかなり苦戦していた様子がうかがえたのですが……。

森崎:全部カットですよ、あんなの(笑)。恥ずかしい……。しんどい宿題でしたね。

ーー(笑)。練習はされたんですか?

森崎:今回は感情を広げていくことが重要で、あまり練習しちゃダメかなと思ったんです。共演者のひとりがすごいラッパーなので、いろいろと教えていただきながら、本番前にちょっと練習したぐらいで。自分自身も“ラップをした”という感覚ではなくて、魂や感情をマイクにぶつけたイメージでした。それがラップに聞こえてくれたら嬉しいな。どう頑張ったって上手になんてできませんから(笑)。でも、この芝居って、そういうことなんじゃないのかなとも思うんです。お父さんが息子の土俵に上がって、一生懸命にやって、諦めない気持ちを息子に伝える。そういう感じがうまく出ていたら嬉しいですね。

ーー確かにそうですね。お父さんがスラスラとラップできてたら、それはそれでおかしいですし(笑)。

森崎:そうなんですよ(笑)。息子がいま12歳と10歳で、あと3歳の娘もいて、結構そっちに手をかけなきゃならない時期なんですけど、やっぱり共感性がすごく高い内容だったので、これからは息子との関係性を改めて高めていきたいなと思いました。脚本にも「わかるわかる!」という会話ややりとりがたくさん盛り込まれていたので。あと、イヤードラマはあまり経験のない形式だったんですが、最終的には聴いていただく方の想像力に委ねるところがあると思うんです。こちら側としては、その想像力を補完するための材料を届けたいわけで。それって実は、我々がやっている舞台の作り方とちょっと似ているんですよね。映画やドラマだと実際にそのシーンが必要ですけど、舞台の場合は「ビルが倒れるぞ!」って言えば、お客さんはそこにビルを見てくれる。ただ、イヤードラマは舞台以上に素材が少ないので、お客さんと一緒に作り上げていく感じがより強くなってくる。なので、僕が全ての正解を出すのではなく、聴いていただく皆さんの経験に委ねる部分も作りながら、一緒に作り上げていくことを考えたりもして、やっていてすごく楽しかったですね。

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