大泉洋、安田顕、戸次重幸……TEAM NACSが映画・ドラマで引っ張りだこの理由

 アマチュアとして行われた初舞台から20周年を迎え、今や誰もが知る演劇ユニットとなったTEAM NACS。全国ツアー公演は即時ソールドアウトするほどの人気だが、ソロ活動はさらに引く手あまたで、ドラマや映画のオファーが途絶えることはない。

 大河ドラマ『真田丸』(NHK)に準主役で出演中の大泉洋、主演映画『俳優 亀岡拓次』が公開された安田顕、土曜の深夜ドラマ『昼のセント酒』(テレビ東京系)で主演を務める戸次重幸、昨年の大河ドラマ『花燃ゆ』に出演した最年少の音尾琢真、脚本・演出・演技の全てをこなすリーダー・森崎博之。全てのメンバーが、あらゆるジャンルの作品に出演し、さまざまな役を演じられる万能性は特筆すべきものがある。

 もちろん1人1人の個性やスキルは異なるのだが、制作側と視聴者の間に「NACSのメンバーだから楽しみ」という期待感のような共通認識があるのは間違いない。なかでも期待値として最も高いのは、キャラクターを作り込む能力の高さ。NACSのメンバーは、「自分のキャラクターを短時間で最後列の客にも伝えなければいけない」舞台俳優の中でも、とりわけ表情と動作のメリハリに長けている。

 それがテレビ視聴者には大きなインパクトとして伝わり、目がクギづけになってしまう。実際、大泉や安田が目をひんむいている顔や、戸次や音尾がぼう然と立ち尽くすような姿は容易にイメージできるのではないか。

 そうしたキャラクターの作り込みは、常に「やりすぎ」「わざとらしい」と紙一重だが、NACSのメンバーは、「前に出て目立った」と思ったら、「スッと引いて存在感を消す」こともできる。つまり、ストーリーの流れや主演の演技を邪魔しないのだ。どこかゆるさを感じさせるような“やり切らない”演技や、“職人然としない”姿勢が、見る側の心地よさを生んでいる。

 その意味で彼らは、まさに「計算できるバイプレーヤー」としてうってつけの存在。たとえば、すっかり主演が増えた大泉も『真田丸』では「黙れ小童!」と怒鳴られる脇役としての存在を全うしているし、安田も『重版出来!』(TBS系)で熱いヒロインと対極のドライな編集者を好演している。

 さらに、いい意味で「代表作がない」のも彼らの強み。常にストーリーの流れに沿い、主演のキャラクターを踏まえた演技をしているため、視聴者に毎回違う印象を与え、飽きられにくい。プロデューサーにしてみれば、「脇役としての仕事を確実にこなす」最もキャスティングで頭に浮かびやすいタイプの存在と言えよう。

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