松村北斗×稔がまとう文学的な香り 『カムカムエヴリバディ』を煌めく物語に

松村北斗×稔がまとう文学的な香り

 そして稔のまとう文学的な香りは、安子との手紙のやりとりからも感じ取れる。

「コスモスが風に揺れ、あぜ道を優しく彩っています」
「木枯らしが吹き上げ、潮の香りをかすかに感じます」

 など四季の移ろいに対してこのような繊細で美しい描写を手紙にしたためるセンスにこそ、内に秘められたノスタルジーとロマンティシズムが現れている。これらのシーンが強い説得力を持って映るのは、松村自身が普段から幅広い芸術活動に勤しみ、多くのことを“自分の体験”として消化してきたからこそ。SixTONESとしての彼が魅せる色香漂う姿に加え、演じる作中でどんどん新たな表情を開拓する松村の活躍からは目が離せそうもない。

 物語は戦況に合わせ刻一刻とシビアになる。稔と安子の恋もまた、一筋縄にはいかない苦しみの中を模索していた。安子はこの恋を「稔さんのことも、きっと忘れられます」と宣言して見せるのだが、その姿はあまりに切ない。これまでにも困難を乗り越えてきたふたりだからこそ、互いの手を携えて“ひなたの道”を歩き続けることを願いたい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本:藤本有紀
制作統括:堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽:金子隆博
主題歌:AI「アルデバラン」
プロデューサー:葛西勇也・橋本果奈
演出:安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか 
写真提供=NHK

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