中澤一登が描くオリジナルアニメ『海賊王女』 美術や劇伴から伝わる世界観へのこだわり

 アニメ『海賊王女』が10月から放送中だ。本作は、映画『キル・ビル』のアニメーションパートやアニメ『B:The Beginning』で監督を務めた中澤一登と、Production I.Gがタッグを組んだ作品。8月より北米・Adult Swim(カートゥーン ネットワークで、大人向けに番組を編成した放送時間帯の名称)のToonami枠で放送されたほか、Crunchyrollでも配信されており、日本よりも先行して海外展開された異色な作品でもある。海外タイトルは『Fena: Pirate Princess』だ。

『海賊王女』公式サイトより

 『海賊王女』は「18世紀×王女×侍×海賊」と銘打たれ、様々なテーマ/コンテクストが絡み合っている。実際にある和洋文化において「戦い」を感じさせてくれる侍と海賊をコアにしたストーリーラインは、オリジナルアニメ作品らしい捻じれのある作風で非常に面白い。

 PVでは美しい長髪やドレス姿が目を惹き、儚げな印象のあるフェナだが、その口からは勝ち気でアグレッシブなセリフの数々が飛び出す。旅に行く際に、短髪へと刈り上げ海賊服に着替えていく姿も印象的。過去に存在した古き良き世界、人間像、歴史をうまく組みこんだアドベンチャー&アクションアニメなのだ。

 中澤が原作案を作り、共同監督の高橋哲也と藤井サキ、そして脚本の窪山阿佐子を含めてストーリーラインなどの制作が進められた。今年は中澤が同じく原作・監督を務めていた『B:The Beginning』の2ndシーズン(『B: The Beginning — Succession』)が公開されたことを踏まえると、非常に詰めたスケジュールでの制作だったことが想像できる。

 海山、平地、田園、家屋、草木、家屋、城と様々に舞台を変えながら、活き活きとキャラクターたちが描かれていく。コンセプトアートを描いたのは西田稔。『リボンの騎士』(フジテレビ系)、『アンデルセン物語』、 『ホビットの冒険』といった名作の美術を担当したほか、『キル・ビル』のアニメーション美術監督や今年配信されたNetflixオリジナルアニメ『Yasuke -ヤスケ-』で美術設定・世界観設計を務めた、御年80歳を迎える大ベテランだ。

 そんなコンセプトアートからの影響もあっただろうか、本作の背景も壮大かつ雄大なスケールを感じさせてくれ、何より「どこか知っているが、どこにもない世界」という絶妙なニュアンスを細やかな美術設定と共に表現した。美術制作にはアートチーム・コンボイやBambooなど複数社参加しており、異文化がシームレスに繋がったオリジナリティある世界観をより色濃く描くことに成功している。



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