『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』アニメーションの魅力とは 美術や演出から解説

 京都アニメーションが制作した『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が、日本テレビ系『金曜ロードショー』で2週に渡って放送される。10月29日にTVシリーズを再構成した「特別編集版」を、翌週11月5日に映画『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-』(以下、『外伝 -永遠と自動手記人形-』)を本編ノーカットで地上波初放送する予定だ。

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン特別編集版』(c)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

 本作品は、京都アニメーションによって運営されている文庫レーベル・KAエスマ文庫から発刊されたライトノベル作品を原作としている。前回紹介したような(『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が支持される理由 「愛を知る」物語から紐解く)重厚なストーリーラインを幹として、京アニの美麗なアニメーションによって素晴らしいアニメ作品として大きなヒットを飛ばした。そこで本稿では本作のアニメーションに着目していきたい。

 『響け!ユーフォニアム』『小林さんちのメイドラゴン』なども含め、素晴らしいアニメーションを制作してきた京都アニメーション。多くのファンが絵コンテ・レイアウト・原画・動画の細やかな仕事ぶりに目を光らせるが、美術・色彩・撮影もまたここ10年において同じように素晴らしい仕事をしている。

 アニメ制作について改めてざっくりと説明すると、このような順序となっている。

シナリオ→設定・デザイン→絵コンテ→レイアウト→原画→動画→スキャン→仕上(彩色)→美術→撮影(コンポジット)・特殊効果・3DCG→編集→アフレコ→ダビング→完成

 ここからさらに細かい作業が入ったり、制作時の状況によっては順番が前後することもある。また、原画・美術・3DCG班それぞれ稼働していることもあり、同時進行で制作が進んでいることも抑えておきたい。

 とはいえ、どのような進行になっていても共通する点がある。レイアウトを基にして描かれた原画・動画は線書きの状態であり、視聴者が観ているアニメーションは、動画を彩色したあとに背景美術・特殊効果・CGを一つに合成していく撮影(コンポジット)することで形になっているということである。

アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』制作風景 第2弾「動画(中割り)」

 ひと昔前まではセル画と背景美術を実際に重ね、1セットずつカメラで撮影していくという流れだったが、現在はデータを専用ソフトで合成することで撮影作業が進められている。

 技術が進歩した現在、京都アニメーションの現場でどのようなソフトが使用されているかは分からない部分が多かったが、公式YouTubeで公開されている『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の制作風景によるとRETAS STUDIO PaintManとAdobe After Effectsを使用しているのが確認できる( 第3弾「ペイント」と第6弾「撮影」にて)。

アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』制作風景 第3弾「ペイント」
アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』制作風景 第6弾「撮影」

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