『カムカムエヴリバディ』一世紀に及ぶ物語の幕開け 城田優の優しく穏やかな語り

『カムカムエヴリバディ』一世紀の幕開け

 1925年3月22日、日本のラジオ放送開始と同時に可愛らしい女の子が生まれた。和菓子屋の家に生まれたその女の子は安子と名づけられた。NHKの連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』が初日を迎え、冒頭では白黒の映像から始まると、ラジオ英語講座とともに生きた祖母、母、娘の3世代のヒロインの100年に及ぶ家族の物語が幕を開けた。

 あんこの甘い香りに包まれて成長した小学3年生の安子(網本唯舞葵)は、父・金太(甲本雅裕)に怒られても工場に入って出来たてのおはぎに手を伸ばし、おままごとでもおはぎを作り、お弁当の隅におはぎを詰めたいと口にするほどあんこが大好き。金太や職人たちには厳しい祖父・杵太郎(大和田伸也)はそんな安子にめっぽう甘い。そして安子は、近所にある荒物屋で聞こえたラジオの音に足を止め、興味津々で聞き入る、好奇心旺盛な女の子でもある。

 当時ラジオは庶民にとってはまだまだ高級品であり、和菓子屋「たちばな」のある商店街でラジオを持っているのは荒物屋の吉兵衛(堀部圭亮)だけだった。夕飯どき、職人たちはラジオを買う予定はないかと杵太郎に聞く。安子も荒物屋で聞いたラジオの音や、同級生の勇(藤原詩音)に家にラジオがないことをからかわれたこともあってか期待するような表情を見せたが、杵太郎の返答は「ラジオは買わん!」だった。

 しかしあくる日の朝、「おじいちゃんがラジオ買うてくれた!」と安子がラジオを持って工場に入ってくる。祖母・ひさ(鷲尾真知子)と母・小しず(西田尚美)、金太と職人たちも楽しそうにラジオから流れる音に耳を傾けるが、そこへやってきた杵太郎はラジオなど買っていないと言う。実は兄・算太(濱田岳)が、祖父が安子に甘いことにかこつけて、吉兵衛からラジオを盗み、杵太郎が買ってくれたことにしていたのだ。当たり前のことだが吉兵衛はカンカンに怒っており、金太は算太を連れて彼に頭を下げた。杵太郎が、子どもが生まれたばかりの吉兵衛に祝いの品として紅白饅頭を持ってきたことで事は収まった。

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