『真犯人フラグ』で狂気の演技が蘇る? 西島秀俊×秋元康作品の化学反応を予想
秋元康企画・原案、西島秀俊主演の連続ドラマ『真犯人フラグ』(日本テレビ系)が10月10日から2クールにわたって放送される。以前のシリアスな役に比べ、最近は『おかえりモネ』(NHK)など優しい男性役が多く、今作でも事件に巻き込まれるマイホームパパを演じる西島。『あなたの番です』(日本テレビ系)のスタッフが再集結し、毎回物議をかもす秋元作品との相性はどうなのか検証してみたい。
俳優・西島秀俊は、これまで爽やかで二枚目でありながら、どこか虚無感があり狂気をはらんだ独特の雰囲気が、渋さと色気を感じさせていたが、50代になった今は、20代の頃とほぼルックスは変わらず、大人の色気と優しい包容力が年々増し、それでいて時折見せる愛嬌で心を掴むほかにいないキャラクターを見せている。
そのきっかけにもなったのは、やはり2019年の『きのう何食べた?』(テレビ東京系)だろう。自然に笑う表情や、ふとした仕草で愛情を表現するなど、サッパリとして自然な演技が素顔のように見えて、愛着が湧いてくる。現在放送中の朝ドラ『おかえりモネ』での気象予報士役では、ヒロインを気象の世界に導き、バックアップする懐の深い人物で、安心感のある大人を表現。また『シェフは名探偵』(テレビ東京系)でも、お節介で茶目っ気があるも、常に冷静沈着で全てを見透かしているシェフなど誰にでも愛されるキャラクターが続く西島。そんなイメージが世間に定着したベストなタイミングで出演するのが『真犯人フラグ』だ。
2019年に同枠で放送された『あなたの番です』(以下、『あな番』)の企画・原案を手がけた秋元康ら同作スタッフが制作するオリジナルミステリーである今作での西島演じる凌介は、真面目でおっとりしており、かなりのお人好しという、最近よく西島が得意としている人間味のある人物。今回注目なのが、西島はこれまで相手を振り回す、ドラマのイニシアチブを握っている役がほとんどだが、今回は珍しく、世間に振り回され追い込まれる側の人間を演じること。そうした役柄は、秋元原作ドラマ『共演NG』(テレビ東京系)の中井貴一のごとく、ベテランの域に達した俳優が振り回されるコメディ的な面白さがあるが、ハマらない可能性もある。