『おかえりモネ』茅島みずきは目で語る “外から来た人間”としての葛藤を表現

『おかえりモネ』茅島みずきは目で語る

 その疑問とは、「外から来た人間に何ができるんだろう?」ということ。実際、わずか5年半のみ上京していた百音が秋まつりの日が荒天になるから延期しようと提案しても、街の人たちは「どれくらい信用できるもんなの?」と不満をぶつけていた。

 劇中では描かれていなかったが、きっとボランティアをしている間、街の人たちの人とのふれあいで、積もり積もったものがあったのだろう。

“外から来た人間に何ができるんだろう”

 この疑問を百音に伝えるのだから、多く語らずとも一花の苦悩がひしひしと伝わってくるようだ。「昔、気仙沼のコミュニティFMを聞いていた」と百音と高橋美佳子(山口紗弥加)が“地元”に関する話をしている様子を、鋭いともいえる眼光で見つめていた一花が印象的だった。

 さらに「永浦さんみたいに、地元の人だったら違ったのかな」ともこぼしており、百音に対する羨望も覗かせる。そんな彼女に、百音は「外から来てくれた人や一度は離れてしまった人間が一生懸命考えるからよくなることもある」と自分に言い聞かせるように語る。

 その百音を見つめる一花の目もまた、鋭さを含んでいる。それは、百音の言葉を納得しているようで、おそらく気仙沼での体験があって「それは難しいことだ」と伝えていたのではないだろうか。

 震わせ紡ぐ言葉からも思いは伝わってくるのだが、一番“目”が本心を語っている。“茅島みずきは目で語る女優だ”と、筆者は感じた。

 百音にも視聴者にも印象を残した一花。それは、この茅島の演技があってのことだ。インタビューで「朝ドラにヒロイン役で出演したい」と意欲も見せている茅島。また朝ドラで茅島の姿を見る日も近いかもしれない。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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