『聖闘士星矢』ハリウッド実写版の理想形は『HiGH&LOW』? 巨大なサーガ誕生への期待

 車田正美原作『聖闘士星矢』のハリウッド実写映画『Knights of the Zodiac(原題)』の主演を新田真剣佑が演じることが発表された。

 1985年に連載が開始され、現在に至るまで愛され続けている『聖闘士星矢』。SMAPをキャストに迎え舞台化されたことはあるが、映像作品はアニメーションであり、キャストを迎えての実写化は今回が初となる。原作、アニメをリアルタイム世代で楽しんでいたというライターの成馬零一氏はその魅力を次のように語る。

「車田正美先生は、少年ジャンプのバトル漫画の基礎を作った人です。最初のヒット作は『リングにかけろ』ですね。当初は『あしたのジョー』の流れを汲むリアル系のボクシング漫画だったのですが、次第に独自のバトル描写を確立し「ブーメランフック」や「ギャラクティカマグナム」といったド派手な必殺パンチの応酬に変わっていきます。パンチ一発で勝負が決まるボクシングは現実離れしており、具体的にどういう技なのかはよくわからないのですが、カッコいい技の名をキャラクターが叫び、背後に宇宙のイメージカットが描かれるため、画の迫力で「とにかく凄い技なんだ!」と読者に納得させるものがありました。『聖闘士星矢』は『リングにかけろ』にあったケレン味をより発展させた漫画で、作品の持つ小宇宙(コスモ)がとにかく凄かった。ギリシャ神話を基にした巨大な世界観があって、星矢たち少年が熾烈な戦いを繰り広げるバトル漫画で、派手なシーンが延々と続くので続きが毎週楽しみでした。同時に、グッズ展開やキャラクターの見せ方などは、現在につながる“オタク”カルチャーの先駆けといえる作品だったように思います。子供たちは必殺技や聖衣(クロス)の格好良さに惹かれ、どの聖闘士(セイント)が一番強いのかという話で盛り上がる一方、大人たちはキャラクター同士の関係性を深読みして楽しむ。こういった二重構造の読まれ方は『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』といった近年のジャンプ漫画にも脈々と受け継がれているものです」

 『聖闘士星矢』のハリウッド実写版への期待として、「『MCU』のような展開ができたら面白いのでは」と成馬氏は続ける。

「巨大な世界観を提示して、その中で一人ひとりのキャラクターの魅力を掘り下げていくというのが、MCUの成功の要因だったと思います。『聖闘士星矢』も壮大な話なので、一本の映画にまとめるのは難しいと思うのですが、MCUがそうだったようにキャラクターごとに作品を作ったり、ドラマシリーズを展開して巨大なサーガを構築できたら、その魅力が倍増するのではないかと思います。もしくは物語の要素はバッサリと切り捨てて、バトルシーンを延々と見せていくやり方も面白そうですね。もともと、『聖闘士星矢』は細かい設定はある一方で、物語の見せ方が大味で強引なところがあります。昔作られた劇場版アニメは、尺が40分程度ということもあり、戦闘シーンの連打という感じでしたが、バトルをダンスのように見せるミュージカル的なアプローチで、理屈よりも情感に訴えるものがあり楽しめました。今ふりかえると、漫画の映像化における一つの正解だったと思います。ですので、ハリウッド実写版も全編バトルシーンにして、例えば『HiGH&LOW』のように“バトルミュージカル”のようにしても、面白いのではないかと思います」



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