『おかえりモネ』蒔田彩珠の涙に込められたみーちゃんのあらゆる感情 菅波の愛の深さも

『おかえりモネ』未知の涙に込められたもの

 百音(清原果耶)が逃げたのは、地元からではない、妹の未知(蒔田彩珠)からだった。そんなことがわかった『おかえりモネ』(NHK総合)第94話。自然災害の脅威ばかりに最近注意がいってしまったせいで、永浦家の姉妹が実はすごくもつれていることをすっかり忘れてしまった。

 姉の百音が地元に戻ってきていいかと尋ねる。思わず、「仕事はどうするの」なんてことを聞き返す未知だが、本当はそんなことが問題ではないのだろう。困惑する彼女の表情から、少し前の東京で起きた亮(永瀬廉)失踪事件での2人のやりとりが思い出させる。未知になぜ自分に聞くのかと尋ねられると、百音は言った。

「この家、ずっと守ってきたのはみーちゃんだったから」

 百音が物語の最初から、ずっと島を出たがっていたのは彼女が“あの日”に不在だったことへ感じる罪悪感だった。しかし、その罪悪感というものが実のところ泣きじゃくりながら「お姉ちゃん、津波見てないもんね」と言った未知に対するものだったことが、今回の姉妹の会話からわかった。

 そして、未知本人も自分のその一言が百音を島にいられなくしたことを知っている。それでも、百音は姉の立場として当時まだ中学生だった、怖い思いをしていた妹を近くで支えられなかったことへのダメージが大きのだろう。もっと、その一言を言われた瞬間に未知に寄り添えばよかった。しかし、言われてしまった一言に対する自分が受けた傷ばかりにこれまで向き合ってきた。それが時を経て、大人になってからもお互いに向き合おうとしなかったことから、亮への問題などあらゆる姉妹の関係性の軋みに繋がっていたのかと思う。

 それでも、そういったことは“大人になったから”ようやく向き合えるものだったりもする。そして大人になったからこそ、百音はハッキリと未知に今度こそ「もう一度やり直させてほしい」と伝えた。正直、未知はそれを拒絶しないが心底歓迎しているようにも見えない。ただ、ようやく自分との溝に向き合ってくれた姉に対する安堵だったり嬉しさだったり、当時の悲しさだったり、これまでの孤独や嫉妬だったり。ありとあらゆる感情が出てしまって、涙が止まらなかったのではないだろうか。蒔田彩珠は、そういった未知の複雑な思いを非常に繊細に表情で表し、圧巻の演技を披露してくれた。



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