『古見さん』池田エライザの喜怒哀楽表現が素晴らしい 表情やリアクションで役柄を体現

『古見さん』池田エライザの喜怒哀楽表現

 長名が提言するカースト制度によって、只野と友達でいない方がいいと言われてしまった古見だったが、自らの口から友達でいたいと只野に告げる。

「やっぱり……私は……只野くんの……友達で……いたいです」

 最後の「いたいです」でやっと只野の目を見ることができた古見だったが、我に返ったのか、恥ずかしさのあまりノートを顔に。古見の携帯番号を聞いた時も、コミュニケーションとして「傘がかさばる」というオヤジギャグを受け取った時も、「古見さーん!」と心の中で咆哮していたのに、こういう時だけは「僕も古見さんの友達でいたいです」としっかり返せてしまう只野。何より、古見が自ら話し始めたのは只野の「僕の友達は僕が決めるよ」という言葉がきっかけにある。

 顔を覆っていたノートから笑みを浮かべる古見がひょっこりと顔を出し、再びノートへと潜っていく。セリフ数が極端に少ない古見の場合、その表情やリアクションが彼女の感情を伝える手段となる。心の咆哮が何度もインサートされる只野とは、まさに正反対の演出の仕方だ。そこをオーバーに演じ過ぎず、絶妙な加減で古見を体現する池田エライザの演技はやはり素晴らしい。友達になることができた「喜」の演技に対して、只野からの「硝子」呼びが叶わなかったすねた表情は「哀」である。

 第4話では、転校が決まった片居誠(溝端淳平)の望みで、古見、只野、万場木の4人で海へ。さらに、校内では新しい生徒会長を選出する選挙戦が本格化し、極度の潔癖症である潔清子(大西礼芳)が登場する。

■放送情報
『古見さんは、コミュ症です。』
NHK総合にて、毎週月曜22:45〜23:15放送(全8回)
出演:増田貴久、池田エライザ、吉川愛、ゆうたろう、溝端淳平ほか
原作:オダトモヒト
脚本:水橋文美江
音楽:瀬川英史
主題歌:aiko
制作統括:樋口俊一(NHK)、高城朝子(テレビマンユニオン)
プロデューサー:大沼宏行(テレビマンユニオン)
演出 :岡下慶仁(テレビマンユニオン)、石井永二(テレビマンユニオン)
総合演出:瑠東東一郎(メディアプルポ)
写真提供=NHK

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