『鬼滅の刃』善逸&伊之助はなぜ視聴者の心掴むのか 下野紘と松岡禎丞の表現力
母性くすぐる伊之助の魅力
一方、ムキムキの筋肉を揺らし、「猪突猛進! 猪突猛進!」と高笑いも交えて叫びながら初登場となった伊之助は、最初は敵味方どちらかわからなかった視聴者も多いのではないだろうか。
奇妙な猪の被り物に、上半身は裸、つねにやかましい、まさに“野生児”の伊之助だが、被り物の下には端正な素顔が隠れている。そんな繊細な顔の作りに合うように、精神的にも繊細で脆い一面が。負けると人が変わったように落ち込みまくり、しょんぼりとうなだれながら「ゴメンネ」「弱クッテ」とこぼす姿に母性を感じずにはいられない。
また、猪に育てられたため、炭治郎らから得られる優しさを理解できないのだが、共に行動することで情緒が芽生えるように。しかし、人の優しさに「ほわほわ」した感情を抱く自分に戸惑いを隠せない場面も多く見られる。
そんな伊之助を演じるのは、松岡禎丞。松岡といえば、初主演作『神様のメモ帳』での藤島鳴海や、『ソードアート・オンライン』のキリト/桐ヶ谷和人など、いわゆる中性的で線の細い役が多い声優。『魔界王子 devils and realist』のシトリー・カートライトなど、少しかすれたセクシーな声を活かした役も。
しかし、『Re:ゼロから始める異世界生活』で狂人・ペテルギウス・ロマネコンティ役を怪演。これまでの爽やかボイスのイメージをぶち壊し、その後、『鬼滅の刃』で伊之助役に抜てき。野性味あふれる演技で視聴者を圧倒した。
「鼓屋敷編」以降、どんどん活躍の場が広がる善逸&伊之助。
年内にはアニメ『鬼滅の刃』遊郭編がスタートするのだが、無限列車での任務を終えた一行が次に向かうのは、鬼の棲む遊郭。原作を読んでいる人はきっと楽しみにしている、3人の「〇〇姿」を拝めるのが見どころになるのではないだろうか。放送を楽しみに待とう。
■放送情報
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』テレビ初放送直前!竈門炭治郎 立志編 特別編集版
・『鬼滅の刃』第四夜 那田蜘蛛山編
フジテレビ系にて、9月19日(日)19:00〜21:54放送
・『鬼滅の刃』第五夜 柱合会議・蝶屋敷編
フジテレビ系にて、9月23日(木・祝)19:00~21:20放送
声の出演:花江夏樹、鬼頭明里、下野紘、松岡禎丞ほか
原作:吾峠呼世晴(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン:松島晃
アニメーション制作:ufotable
製作:アニプレックス、集英社、ufotable
(c)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/kimetsu