『おかえりモネ』百音が見つけた“変わらぬ”思い 高村さんのピンヒールに見えた意地と矜持

『おかえりモネ』百音が見つけた変わらぬ思い

 気仙沼の本土と亀島を結ぶ橋がかかり、「新しい空気が流れてきた感じがしたの」という亜哉子(鈴木京香)の言葉がそのまま『おかえりモネ』(NHK総合)第18週を総評するものに思えた。

 過去にあまり例がないほどの大きさと強さで日本列島に近づく台風が発生した今週。首都圏の特別警報が解除されてほっと息をついたと思いきや、今度は長野県の番場川が氾濫するおそれも。怒涛の展開が繰り広げられる中で、百音(清原果耶)をはじめ色んな人たちの大切に温めてきた思いが橋をかける予感がしたのだ。

 アプリ『Team Generators』に一般の人が投稿した気象情報をインターネットで配信する朝岡(西島秀俊)を手伝うことになった百音。かつて気象キャスターとして人気を集めた朝岡の配信には続々と視聴者が集まり、多くのコメントが寄せられる。その中に気になるコメントが一つ。「朝岡さんが言うなら!」というものだ。

 正しい情報も、間違っている情報も雑多に溢れる現代社会。その中で人々が参考にしようと思う判断基準は何か。それは以前朝岡が言ったように、情報を発信している人が信用に値する人物かどうかだ。百音がかつて体験学習中の小学生と遭難した際、真っ先に朝岡へ電話をかけたのも「この人なら何かヒントを与えてくれる」という信頼があってこそ。同じように五十嵐のおばあちゃん(大方斐紗子)も、普段から的確な気象情報を伝えるテレビ局に電話をかけてきてくれたのだろう。

 こつこつと信頼を積み上げてきた人の元にはいざという時、人も重要な情報もたくさん集まってくる。百音がやろうとしている「あなたの街の気象予報士」も根本は、そういう仕組みをつくる計画のはずだ。

 一方、テレビ局では高村(高岡早紀)を中心にみんなが情報の裏取りに奔走していた。そしてついに、番場川上流のライブカメラ映像からすでに越水していることが判明。一刻も早く視聴者に情報を届けなければならないが、あいにく気象キャスターの内田(清水尋也)と莉子(今田美桜)は仮眠スタイルのまま。急遽、高村が2人に代わってカメラの前に立つことになる。

 本番前に台本を読む高村のピンヒールに、カメラがクローズアップする演出にグッときた。「100%中身で勝負できるほど世の中甘くない」ことを実感し、常にピシッとしたスーツと華奢なピンヒールを身につけてきた高村。悔しい思いをした時もそこから立ち上がる時も身につけていたそれらは、彼女が守り続けた意地とプライドの表れでもある。また同時に、そんな姿を尊敬の眼差しで見る莉子のような次世代を担う若者たちが、見た目ではなく実力で勝負できる土台を固めようとしてきたのだろう。

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