『おかえりモネ』百音が秘める地元への思い 菅波とはさらに特別な関係へ?
『おかえりモネ』(NHK総合)第87話では「地元」がキーワードになった。ウェザーエキスパーツの新規事業審査会で、百音(清原果耶)は『あなたの町の気象予報士 全国津々浦々計画』をプレゼンする。
「もし気象予報士が常に町にいたら、天気の急変や突然の災害の危険性なども、自分の目で見ていち早く察知することができます」。念頭にあったのは、集中豪雨による浸水や突風による停電等を防ぐこと。雨雲レーダーが250メートル四方の天気を5分ごとに観測し、予測の精度も上がっているのに、災害は減らないどころか逆に増えていた。百音が考えていたのは、ウェザーエキスパーツが提供する交通や農林水産業、スポーツなどのコンサルティング業務を日本中で展開することで、「もっと地域密着っていうか、もうその町のどこに誰が住んでいて、どんな仕事をしているかとかも、そういうことももう全部知っているくらい、地域のことを把握した予報士にいてもらいたいんです」と語る。百音の提案には、在宅医療と連携し、災害時の避難や医療体制を確保する計画も含まれていた。
安西社長(井上順)は百音のアイデアに理解を示しつつ、「これが採用になったら、永浦さん、地元でおやりになるの?」と質問する。雇用主としては当然さ気になるところだ。菅波(坂口健太郎)の言葉を借りると、つねづね「いつか島に帰って、何か自分にできることをしたい」と百音は思っていた。今やっている仕事は面白いし、奥深さを感じているけど、「でもやっぱり地元のことは考えてしまう」。それがいつになるかはわからないけれど、地元のことはいつも心の中にあった。
地元と東京。「体が2つあったらいいのに」と自分の方を向く百音に、心の中を見透かされたようにドキっとする菅波。目をそらして「その文脈で僕を見るのは間違ってる」とつぶやき、向き直って「体が2つあっても、1つは東京、1つは地元の気仙沼で、あなたの頭の中に登米の僕という選択肢はまったく想起すらされていない」と指摘する。付き合いだして2年。視聴者目線で気になっていたのは、この2人はいつまで互いを敬称で呼び合うのだろうということ。しかしついにこの日、変化が見られた。「先生」は「先生」のままだが、「永浦さん」は「百音さん」に昇格。モネでいいという百音に、菅波が返した答えは「みんなが呼ぶ名前はつまらない」。自分だけ特別な呼び方をしたいという本音を隠そうとして隠せていない上、「先生」と呼ばれるのは「案外気に入っている」。素直であまのじゃくな菅波の真骨頂だった。
新規事業審査会では、NHKニュースの気象コーナーでおなじみの斉田季実治と山神明理も審査員役で出演。前週のお笑い芸人・もう中学生に続くサプライズとなった。斉田は本作の気象考証も担当しており、あらためて『おかえりモネ』で扱う気象の世界がこちら側の現実とつながっていることを実感した。
※記事初出時、本文に誤りがありました。訂正の上、お詫び申し上げます(9月14日15:02)
■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK