“韓流四天王”からハリウッドを経て国際的スターへ イ・ビョンホンの俳優生活30年を辿る
韓流ブームの立役者からハリウッド……本国でも活躍続く
7月12日に51歳の誕生日を迎えたイ・ビョンホン。同じ1970年生まれには、ファン・ジョンミンやリュ・スンリョン、ハリウッド俳優にはイーサン・ホークやマット・デイモンらがいる。12歳年下の女優イ・ミンジョンと結婚し、2015年3月には父親にもなった。
ドラマ『アスファルト 我が故郷』でデビューし、初期はテレビで活躍。チェ・ジウ共演『美しき日々』をはじめ、『オールイン 運命の愛』、映画『純愛中毒』『誰にでも秘密がある』といった作品で日本の韓流ブームを牽引し、木村拓哉主演の劇場版『HERO』に友情出演。映画ファンは、38度線上の共同警備区域で北朝鮮兵士(ソン・ガンホやシン・ハギュン)と交流を深める韓国軍の兵士を演じたパク・チャヌク監督『JSA』で知った方も多いだろう。
『美しき日々』で共演したシン・ミナにひと目ぼれするキム・ジウン監督『甘い人生』は、韓流スターとしてのイメージをいい意味で裏切り、同作とソン・ガンホ&チョン・ウソン共演『グッド・バッド・ウィアード』ではカンヌの地へ。キム・ジウン監督とは猟奇殺人犯(チェ・ミンシク)に婚約者を殺された捜査官が自ら“怪物”になっていく『悪魔を見た』、さらにソン・ガンホ&コン・ユ共演『密偵』でも組んできた。
2009年、『G.I.ジョー』のストームシャドー役でハリウッドデビュー。『G.I.ジョー バック2リベンジ』でも同役を演じ、リブートとして結果的にはうまくいかなかったものの『ターミネーター:新起動/ジェニシス』では、あの冷酷無比な液体金属型ターミネーターT-1000役に。2012年にはハリウッドスターの証「ウォーク・オブ・フェーム」に手形・足形を刻んだ。
こうした作品では、彼の身体性やアクションに関心が寄せられがちだが、『G.I.ジョー』大抜擢の理由は、バイオレンス×純愛の世界観に脆くも、鋭利な魅力が放たれた『甘い人生』がきっかけだったという(※1)。確かに、ビョンホンは運命に翻弄されて本来の自分を見失い、暴力や裏切りによって歪んでしまったような剛柔併せ持つキャラクターが何気に多い。
例えば、『マグニフィセント・セブン』で演じたナイフ使いのガンマン、ビリー・ロックスとイーサン・ホーク演じるトラウマを抱えたスナイパー、グッドナイト・ロビショーとのコンビは、シンパシーや尊敬から育まれた親友以上の関係性を深掘りしたくなると人気に。『インサイダーズ/内部者たち』では政界や財界の大物の悪事を代行してのし上がったものの、告発には失敗する、野心が糧のチンピラ役がよく似合っていた。
道化者が暴君、そして聖君へ。映画版『王になった男』のような一人二役は、その振り幅が大きいほど観る者は魅了される。『IRIS-アイリス-』以来、9年ぶりのドラマ出演だった『ミスター・サンシャイン』は、キム・テリとの年齢差が気になるところではあったが、愛憎のせめぎ合いを繊細に演じていたのはさすが。
また、生き別れた母親役をオスカー女優ユン・ヨジョンが演じた『それだけが、僕の世界』でも、サヴァン症候群でピアノが得意な異父弟ジンテ(パク・ジョンミン)との関わりが母へのわだかまりを中和させた。ボクシングほか、コミカルにゲームに興じる姿やダンスも披露し、新境地を垣間見せた作品の1つだ。
そして、カンヌで初お披露目された新作『非常宣言(原題)』はソン・ガンホをはじめ、チョン・ドヨンにキム・ナムギル、イム・シワン、キム・ソジン、パク・ヘジュンらと豪華競演。現地の評判もかなり良かったようで(※2)期待の1作だ。さらに、9月からスタートする米の人気コメディ番組『Saturday Night Live』の韓国版『SNL KOREA」では、初回のホストという大役を任されている。
まだまだ歩みを止めることのないイ・ビョンホン。その新しい挑戦にはいつまでも併走してゆきたい、と心に誓っている。
参考資料
※1:有名ハリウッド監督がイ・ビョンホンに注目する理由|中央日報
※2:https://star.mt.co.kr/stview.php?no=2021071913123886495&type=3
■公開情報
『白頭山大噴火』
TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開中
監督:イ・ヘジュン、キム・ビョンソ
出演:イ・ビョンホン、ハ・ジョンウ、マ・ドンソク、チョン・ヘジン、ペ・スジ
提供:ツイン・Hulu
配給:ツイン
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