『おかえりモネ』りょーちんへの思いが錯綜する 未知、明日美、百音が強く残した表情

『おかえりモネ』りょーちんへの思いが錯綜

 未知(蒔田彩珠)は、亮(永瀬廉)がいざというときに頼るのが百音(清原果耶)であることにいらだち、百音に強くあたる。百音はそんな未知に何も言えなかった。NHKの連続テレビ小説『おかえりモネ』が第16週初日を迎え、未知、明日美(恒松祐里)、百音の亮への思いが交錯する。

 百音と未知の様子を心配し、声をかけてきた明日美も、亮が船に戻っていないことを知った。朝になり、亜哉子(鈴木京香)からの電話で亮が気仙沼に帰ろうとしていることを知った百音は、亮の心中をおもんぱかり、「もう1日だけ休ませてあげられないかな」と口にする。亮を引き留めるため、バスターミナルに向かおうとする百音と明日美だが、未知は自分は行かないと伝える。「りょーちんが来てほしいのはお姉ちゃんだから」と話す未知に、明日美は率直に言った。

「そんなの分かってるよ」

 ずっと亮を思い続けてきた明日美は、亮が本音を言うのは百音だけだと知っていた。そのことに対して「むかついた時期もあったけど」と話す明日美だが、明日美は「りょーちん……バス乗せないで」と百音に亮を託す。

 明日美と未知は、誰よりも亮を理解している。だからこそ、亮が頼るのが自分ではなく百音であることも分かっている。しかし明日美と未知がとる行動には違いがあった。亮の行方がわからなかった時、未知は亮にかけられた言葉を思い出し、その顔に影を落としながら亮がいた席に座る。一方、明日美は、いらだった未知が百音に投げつけたワンピースを優しく手元に引き寄せた。未知の心境を察したのだと思う。

 とはいえ、事情を何も知らない菅波(坂口健太郎)に、姉への嫉妬がおさまらない未知が「あの2人は昔から通じ合ってる」と当てつけるように言うと、明日美は語気を強めて未知を制止した。明日美の強い表情が忘れられない。明日美は未知よりも先に亮を想い、叶わないことを知った。未知のように、百音に対して激しい嫉妬を覚えたこともあっただろう。けれど、亮を思うからこそ、そのような思いを全て飲み込んだのだ。「りょーちん……バス乗せないで」と言った恒松の声色や笑顔は、百音にしかできないことへのやや鬱屈とした思いを飲み込んでいたように見えたし、未知を静止した時の表情は、これまで真っ直ぐに自分の思いを伝えてきた明日美にとって未知の行動が許せなかったように見えた。

 物語の終わり、百音を見て安心したような笑顔を見せた亮の姿があった。それぞれの思いが交錯しているからこそ、亮の笑顔に複雑な心境になった視聴者も少なくないだろう。しかし「モネしか言える相手いない」と口にした亮を支えられるのは、決して百音だけではない。未知も明日美も、そして気仙沼の幼なじみたちも、亮のことを心配している。彼らの思いが亮に届くことを願う。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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