『ボイスⅡ』増田貴久は優しさゆえの苦悩が似合う 樋口と白塗り野郎の過去も判明
不可解な通報から始まった『ボイスⅡ 110緊急指令室』(日本テレビ系)第6話。「本当に怖いのは人間」、樋口(唐沢寿明)の言葉通りの、悲しい結末を迎えた。
現場は、3年前に殺人事件が起きたことから、心霊スポットと噂されるようになった廃墟。動画配信者の成瀬(松岡広大)は、リアルな恐怖映像を撮影することで世界中から注目を浴び、お金を手に入れるようと、何の罪もない少女・碧(花田優里音)を誘拐・監禁・薬物漬けにした。成瀬のつまらない承認欲求のために、我を忘れた化け物のような姿を全世界に晒され、人としての尊厳をも奪われた碧。彼女は二度、殺されたようなものだ。
廃墟を捜索中、石川だけは、碧が監禁されていた気配、薬物使用の痕跡、成瀬の不審な言動に気付いた。あのとき発作が起きなければーー自身の現状をようやく深刻に捉えた石川。今回の事件を最後にする、だから「必ず助ける」と誓った。助けられたかもしれない命が目の前で消えたのは、その矢先のことだった。
成瀬への怒りは成瀬にぶつけることができる。しかし、自分自身への怒りはどこへぶつければ良いのだろう。自らの心身不安定が真相解明を遅らせ、救出が間に合わず、被害者が死亡した。石川に罪はない、けれど自分を責めるには充分すぎるほど、残酷な現実だ。
感情の昂ぶりとともにまたも意識を消失した石川。目覚めるとそこには、血を流し倒れている小野田(大河内浩)の姿が。次週、石川は被疑者として追われることとなる。空白の時間に、果たして何が起こったのだろうか。
朗らかなパブリックイメージを持つ増田。多くの人が、増田貴久といえば笑顔を思い浮かべるのではないだろうか。過去に出演した『RESCUE〜特別高度救助隊』(TBS系)や『レジデント〜5人の研修医』(TBS系)においても、増田らしく、穏やかで真面目なキャラクターを演じてきたが、そこには共通して「苦悩」も描かれた。人知れぬ苦労や葛藤を抱えながらも、周囲に悟られないよう笑顔でごまかし、心の奥に押し込む。ぎこちない作り笑顔、今にも決壊しそうな笑顔、そして人の心の限界を、増田は表現してきた。優しさ、真面目さゆえの苦悩が似合う俳優だ。