安藤政信はミステリーに欠かせない 『ボイスII』“白塗り野郎”役で作品にどう絡む?

『ボイスII』今後の展開を予想する

 唐沢寿明主演ドラマ『ボイスII 110緊急指令室』(日本テレビ系)で、真犯人である“白塗り野郎”の素顔が、大方の予想通り安藤政信と明らかになった前回の放送。そこで、怒涛の後半戦が始まる前に、今後の“白塗り野郎”との行方や予想される展開などを考察してみたい。

 今回の『ボイスII』では、様々な事件を操る“白塗り野郎”なるダークヒーローとECUの対峙が大きなテーマ。“白塗り野郎”は不満抱える人の心の隙間に入り込み、火をつけ、事件をけしかけていくカリスマだ。遺体に焼印し、警察を挑発する際に謎の舞を見せるなど、謎多き人物だったが、前回の放送でそのキャストが安藤政信だということが明らかになった。

 安藤は、物静かで、ミステリアスな二枚目役者として数多くの作品に出演。そこにいるだけでとにかく意味深な存在感は、ドラマにおいてもはや記号的な存在だ。華々しいデビューを飾った北野武監督の映画『キッズ・リターン』の時から、寂しげな目や、影のあるストイックな美男子ぶりは完成されていたように思う。今のイメージに繋がるミステリアスな存在として印象づけたのが、1998年の野島伸司脚本ドラマ『聖者の行進』(TBS系)。母親に捨てられ、工場で働く重い知的障害の妹を守るために、健常者だが障害者の振りをして一緒に働く兄を演じるのだが、寡黙で喋らずも、虐待する工場長への怒りの冷めた眼や、妹たちへの優しい眼差しなど、視線で感情を表現する演技がセリフ以上に説得力を醸し出していた。2000年の深作欣二監督の映画『バトル・ロワイアル』でも、喋らずニヤニヤしながら殺戮
を繰り返す狂気性を巧みに表現するなど、視聴者に心情を深読みさせる力強さを持つ俳優となっていく。

 その当時のイメージが根づいているからこそ、最近では、『あなたの番です』(日本テレビ系)や『テセウスの船』(TBS系)などで視聴者をミスリードさせる人物としてキャスティングされることが増え、ミステリー作品に欠かせない俳優となっている。

 『ボイスII』で安藤が演じる白塗りの男の名前は久遠京介。警察の解剖医であり、今回の事件でも実は頻繁に樋口と会っている身近な人物だということが判明した。事件で鍵となるのは、ひかりの恋人であり、ECU緊急出動班2代目班長・重藤雄二(増田昇太)を拉致監禁し、ECUに向けて公開処刑したこと。そして、樋口の息子・大樹を拉致して、父親は人殺しで、ひかりは母を殺した人物であると洗脳したこと。重藤を殺害したのは、樋口を班長に戻すためということになっているが、樋口の罪を懺悔をさせるために表舞台に引きずり出したとも言える。

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