大傑作なのに5年前から大幅ダウン 『ザ・スーサイド・スクワッド』の不発が突きつけるもの

『新スースク』の不発が突きつけるもの

 アメリカと日本で一つまったく異なるのは、アメリカでは公開と同日にHBO Maxで配信されているが、日本のHBO Max作品の引受先であるU-NEXTでは新作映画は配信していないということ。しかし、それ以外の理由は、Forbesの記事になるほどと気づかされることも多い(なにしろ絶賛モードになっていたので)。10すべての理由をここに列挙はしないが、簡単にまとめると「前作は大ヒットしたが作品の評判は悪かった(だから忠誠度の高いファンがつかなかった)」「今回はバットマンもジョーカーも出てこない」「ハーレイ・クインは実はそんなに人気のあるキャラクターではない」「一般の観客には続編かリブートかスピンオフかよくわからない」「ウィル・スミス映画の続編なのにウィル・スミスがいない」といったところ。ウィル・スミスの件に関してはそもそも今作は続編じゃないので言いがかりではあるが、確かにイドリス・エルバの主演スターとしてのパワーはアメリカでも低く(日本ではなおさらだ)、良くも悪くもスター映画ではないところが前回の作品との大きな違いなのだろう。

 自分の仕事柄、今回最も突きつけられた冷たい事実は、前回と違って今作はアメリカでも批評家から絶賛されているのに、それが興収にまったく結びついていないということだ。そして、ワーナーは「あのジェームズ・ガンなら」と白紙委任し、今作の莫大な予算にゴーサインを出したわけだが、それが作品としては実ったものの、ビジネスとしては実らなかったわけだ。「映画における批評家の影響力」だけならまだしも、「映画における監督の商業価値」も今や瀕死の状態なのかもしれない。

■公開情報
『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』
全国公開中
監督・脚本:ジェームズ・ガン
製作総指揮: ザック・スナイダー、デボラ・スナイダー、ウォルター・ハマダほか
出演:マーゴット・ロビー、イドリス・エルバ、ジョン・シナ、ジョエル・キナマン、ピーター・キャパルディ、シルヴェスター・スタローン、ヴィオラ・デイヴィス
配給:ワーナー・ブラザース映画
132分/2021年/R15+
(c)2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (c)DC Comics
公式サイト:http://thesuicidesquad.jp/
DC公式Twitter:https://twitter.com/dc_jp
DC公式Instagram:https://www.instagram.com/dcjapan/

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