大傑作なのに5年前から大幅ダウン 『ザ・スーサイド・スクワッド』の不発が突きつけるもの

『新スースク』の不発が突きつけるもの

 先週末の動員ランキングは、『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』が土日2日間で動員24万3000人、興収3億8400万円をあげ、2週連続で1位となった。8月15日(日)までの10日間の累計は、動員143万1337人、興収21億7819万7340円。新型コロナウイルス感染拡大「第五波」の最中にもかかわらず、しっかりと数字を積み上げている。現時点で早くも7月2日公開の『ゴジラvsコング』の累計興収を超えていて、パンデミック期に入って以降の外国映画としては最高記録の『TENET テネット』の27.2億円を上回るのも時間の問題だろう。

 その一方、先週末は『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』、『フリー・ガイ』、『ドント・ブリーズ2』と、外国映画のメジャー配給作品(順番にワーナー、ディズニー、ソニー)の公開が重なって、1年以上にわたってドメスティック作品一色だったシネコンに久々に以前の風景が戻ったわけだが、いずれの作品もトップ5の牙城を崩すには至らなかった。3作品ともそれぞれ大いに見応えのある作品だけに、この結果には少なからずがっかりさせられたが、今回はその中から初登場で6位にランクインした『ザ・スーサイド・スクワッド』の興行を取り上げたい。

 DCコミックを原作とする『ザ・スーサイド・スクワッド』は、5年前の2016年8月(日本公開は9月)に公開されたデヴィッド・エアー監督の『スーサイド・スクワッド』のキャラクター(連続して登場するキャラクターはキャストも同じ)を一部引き継ぎながらも、ジェームズ・ガン監督に事実上の白紙委任で託されることとなったリブート作品。結果として、前作はレイティングなしの「G」作品だったが、今回はいきなり2段階上がって「R15+」作品となった。

 『ザ・スーサイド・スクワッド』の土日2日間の動員は8万1000人、興収1億2800万円。金曜公開と土曜公開の違いはあれど、これは5年前の『スーサイド・スクワッド』の公開初週土日2日間の成績(動員24万7000人、興収3億9000万円)の約3分の1という、かなり衝撃的な結果となっている。正直、作品の仕上がりとしては比べものにならないほど今回の作品の方が上回っているのに、どうしてこんなことになってしまったのか?

 実は、『ザ・スーサイド・スクワッド』の予想外の不調は日本だけの現象ではなく、1週前に公開されたアメリカでも同様の現象が起こっている。全米ボックスオフィスではかろうじて初登場1位にはなったものの、比率でいうと前作の約5分の1という日本以上に厳しい結果となった。その衝撃に、経済誌Forbesが「『ザ・スーサイド・スクワッド』の興行が大失敗に終わった10の理由」(https://www.forbes.com/sites/scottmendelson/2021/08/08/8-reasons-why-dc-films-suicide-squad-2-starring-idris-elba-and-margot-robbie-was-a-box-office-disaster/?sh=6111702775e2)という記事を出したほどだ。

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