『東京リベンジャーズ』吉沢亮&林勇、マイキーの多面性を体現 実写&アニメを比較

『東リベ』マイキー、映画&アニメ比較

 一方で、大ヒットした『キングダム』や大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)のような大文字の時代を描く作品でも、吉沢は躍動感あふれる演技で輝きを放っている。『東京リベンジャーズ』には、「オレが不良の時代を創ってやる」という印象的なマイキーのセリフがあるが、役柄上とはいえ、ためらいなく「時代」を口にして周囲が受入れるのは吉沢の持つ個性だろう。他にも『銀魂』で見せたコメディやライダー出身俳優らしいアクションへの適性が本作で発揮されている。

 アニメ版の林勇は、つかみどころのないマイキーというキャラクターに対して、トリッキーな解決策を提示している。林といえば『ハイキュー!!』の田中龍之介や『黒子のバスケ』の荻原シゲヒロなど、変声後の男子っぽい中低音域の効いた声色が印象的である。これらと比べてマイキーの声域は明らかに高く、当初は戸惑った視聴者もいたようだ。実は林自身、子役時代から活動していることもあって高い音域が主線。林本来の声に近いのがマイキーということになる。

 低いトーンの声はここぞという場面で発される。それは東卍のメンバーに決起を促したり、喧嘩ですごむ場面で用いられる。この声の使い分けは、深読みすればマイキーの分裂した内面を表していると理解できる。素の林に近い少年らしさを残したトーンとプロの声優として耳になじんだ低音域は一方が本物ということではなく、どちらも林による迫真のボイスであるがゆえに、ドキッとするようなギャップを生み出すのだ。同時にそれは魂の深淵をのぞかせる。今後、マイキーの抱える闇が表に出るにつれて、2つの声は干渉し合ってキャラクターの複雑な内面を反映することだろう。

 林によると『東京リベンジャーズ』の「特別に格好いいキャラクターで、子どもっぽいところもあれば、闇を抱えている部分もある、様々な表情を持つ」(『東京リベンジャーズ』TVアニメ公式ガイドブックより)のがマイキーであり、吉沢も林もこうした多面的な魅力をそれぞれの方法で昇華している。アニメと劇場版を見比べて、両者の違いを探ってみても面白いかもしれない。

■公開情報
『東京リベンジャーズ』
全国公開中
出演:北村匠海、山田裕貴、杉野遥亮、今田美桜、鈴木伸之、眞栄田郷敦、清水尋也、磯村勇斗、間宮祥太朗、吉沢亮
原作:和久井健『東京卍リベンジャーズ』(講談社『週刊少年マガジン』連載中)
監督:英勉
脚本:高橋泉
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)和久井健/講談社 (c)2020 映画「東京リベンジャーズ」製作委員会
公式サイト:tokyo-revengers.jp
公式Twitter:@revengers_movie
公式Instagram:@revengers_movie

■放送情報
『東京リベンジャーズ』
MBSにて、毎週土曜26:08~放送中
テレビ東京、テレビ愛知、テレビ北海道ににて、毎週日曜25:35~放送中
TVQにて、毎週日曜26:35~放送中
BS朝日にて、毎週日曜23:00〜放送中
ほか各局放送中
※放送日時は変更となる場合あり
声の出演:新祐樹、和氣あず未、逢坂良太、林勇、鈴木達央、水中雅章、松岡禎丞、木村昴、野津山幸宏、河西健吾、小野大輔、寺島拓篤、広瀬裕也、武内駿輔、葉山翔太、日野聡、竹内栄治ほか
原作:和久井健『東京卍リベンジャーズ』(講談社『週刊少年マガジン』連載)
監督:初見浩一
シリーズ構成:むとうやすゆき
キャラクターデザイン:大貫健一/太田恵子
音響監督:飯田里樹
音楽:堤博明
アニメーション制作:ライデンフィルム
(c)和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会
公式サイト:https://tokyo-revengers-anime.com

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