青春ドラマの傑作『六番目の小夜子』が深夜に蘇る 山田孝之、栗山千明の中学生役にも注目

深夜に蘇る『六番目の小夜子』

 7月31日から8月2日にかけて、NHK総合の深夜帯で連続ドラマ『六番目の小夜子』が再放送される。

 2000年にNHK教育の「ドラマ愛の詩」で放送された『六番目の小夜子』は、「青春ドラマの傑作」と語り継がれているドラマだ。

 物語は、とある中学で語り継がれる不思議な言い伝え「サヨコ伝説」が軸となっている。3年に一度、「サヨコ」と呼ばれる役割に、ある生徒が選ばれる。「サヨコ」に選ばれた生徒は3つの役割を果たすことが求められ、それが成功すれば、大いなる扉が開かれると噂されている。主人公の潮田玲(鈴木杏)は次のサヨコに選ばれたいと考えていたが、そこに津村沙世子(栗山千明)という女子生徒が転校してくる。果たして彼女がサヨコなのか? 「サヨコ伝説」をめぐって校内はざわつき始める。

 原作は『夜のピクニック』(新潮社)や『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎)などの小説で知られる恩田陸の作家デビュー作。新潮社が主催する第3回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった本作は、1992年に文庫化されたが、当時はすぐに絶版になってしまったという。しかしその後、「幻の小説」として口コミで噂されるようになり、1998年に改めて単行本化。今では青春小説の名作として広く知られている。

 一度消えた幻の小説が時を経て復活したという本作の変遷自体が、劇中で語られる「サヨコ伝説」のようだが、2021年前のドラマがこうして蘇ることもまた、とても「サヨコ伝説」的である。

 ドラマの脚本を担当したのは宮村優子。『アシガール』などのNHK制作のドラマを多く手掛けている。NHK教育で放送されたアニメ『電脳コイル』の脚本やノベライズにも関わっている宮村はジュブナイルの名手で、子供の心に寄り添った不思議な物語を書かせたら右に出るものはいない。

 演出も、当時のNHKドラマとしては、とてもポップで大胆なものとなっていた。中でも注目は、文化祭で「サヨコ」にまつわる演劇がおこなわれる場面。これから観る人のために詳しい内容は伏せるが、リアルタイムで観た時は「何が起きてるのだ?」と驚かされた。テレビドラマ史に残る名シーンといっても過言ではない。

 そして、最大の見どころは、鈴木杏、栗山千明、松本まりか、山田孝之、勝地涼、山崎育三郎といった現在も活躍する俳優が、中学生役を演じている姿だろう。

 何より圧倒されるのが津村沙世子を演じる栗山千明。当時の栗山は映画『死国』などに出演し、ミステリアスな美少女として注目されていた。“なぞの転校生”として登場する沙世子は、当時の栗山にしか演じられないハマり役だと言って過言ではないだろう。

 一方、現在の視点から振り返った時に面白いのが、影のある優等生・関根秋を演じる山田孝之。現在は『闇金ウシジマくん』(MBS)や『全裸監督』(Netflix)の印象が強い怪優だが、10代の頃は繊細な美少年を演じることが多かった。

 他にも、声を聴いただけですぐに本人だとわかる松本まりかなど、人気俳優の若き日の姿が見られるという意味では、同窓会的な楽しさもある。

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