西島秀俊主演『シェフは名探偵』ゲストに鞘師里保が登場 温かく誠実な芝居で好演

『シェフは名探偵』鞘師里保の誠実な芝居

「どんなワインを飲むかではなく、誰と飲むかがとても大事ですからね」

 西島秀俊主演ドラマ『シェフは名探偵』(テレビ東京)は、グルメな人たちがこぞって訪れる噂のビストロ「ビストロ・パ・マル」を舞台に、西島演じるシェフ三舟忍が人並み外れた洞察力で客たちが巻き込まれた事件や不可解な出来事の謎を鮮やかに、お節介に解いていくグルメミステリーだ。

 第7話のテーマは「友情」。お嬢様の山下嗣麻子(宮下かな子)は大学の友人の誕生日会に向けて高級ヴィンテージワインをビストロに持ち込む。当日嗣麻子よりも早くに集まった一同の口から明かされたのは彼女を食事に誘う衝撃の理由だった。高級ワインにありつける上、抜栓料やアラカルトの食事代を上乗せし、彼女に請求するためだった。なんとか嗣麻子に真相に気付いてもらおうと遥香(鞘師里保)は、彼女とグループの距離ができるようにとあれこれと画策する。

 周囲からの圧力と本当に失いたくない大切な友人の存在の間で揺れ動く遥香役を鞘師里保が好演した。鞘師と言えば、元モーニング娘。の絶対的エースで、卒業後は芸能活動を休業し、ニューヨークでのダンス留学を経て芸能界に復帰、舞台やミュージカル等に活躍の場を広げている。

 『あのコの夢を見たんです。』(テレビ東京系)に本人役でゲスト出演した際には、得意とする爽やかで可憐なダンスも披露した。『アノニマス~警視庁“指殺人”対策室~』(テレビ東京系)でのゲスト出演では、ネット上の誹謗中傷事件の犯人とされる少年と心を通わせる図書館司書役を熱演し、ネットの闇の中に静かなる希望の光が一筋差し込むような、じんわりと温かく誠実な芝居が印象的だった。

 本作でも、遥香の静かなる抵抗と懸命なる意思表示の連続を見せてくれていた。三舟シェフが用意した料理による“雪解け”を迎えた際にこぼれた晴れやかな笑顔が、彼女にとって友人がどれだけ大切な存在だったのかより強く印象づけていた。彼女が演じると軽々しさが全くなく、そこに切実さが宿る。

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