『おかえりモネ』トムさんの病気が明かされる 坂口健太郎演じる菅波の医療への葛藤

『おかえりモネ』トムさんの病が明らかに

 トムさん(塚本晋也)から今語られる、アヤちゃん(鈴木京香)とコージー(内野聖陽)の馴れ初め話。亀島にいるコージーの忘れられない人。アヤちゃんの大逆転ーー龍己(藤竜也)も気になる、その続きは一旦のお預けだ。

 『おかえりモネ』(NHK総合)第28話では、百音(清原果耶)が初めての気象予報士試験を受ける。干物になりそうだった夏に「気象予報士試験に合格するごどです」と目標を決めて約半年。「なぜ雲ができるのか」の知識から、菅波(坂口健太郎)の勉強会の成果で百音は試験を受けられるレベルにまで達していた。試験会場のある仙台に向かう百音のスマホには菅波から怒涛の長文メッセージが。菅波なりの不器用すぎる励ましメール。サヤカ(夏木マリ)をはじめとする森林組合の面々が2人の進展を温かく見守っているのが微笑ましい。仙台から帰ってきた百音の表情は晴れやかだ。「意外とできた気がします」。その言葉を聞いて菅波は「お疲れ様でした」とホッと一息つくのだった。試験の結果が出るのは2カ月後の3月。

 一方、トムさんから頼まれていたテーブルと椅子の注文がキャンセルに。心配になった百音は彼の元を訪ね、その病気がぜんそくではないことを知る。トムさんは肺がんのステージ4で、入院はせず森林組合の診療所に通院しながら薬物治療のみで経過を見る、在宅診療を希望している。トムさんの寝室に飾られている、伊豆沼で撮った蓮の写真。このままであれば今夏、つまり余命半年だと告げられているトムさんは、極楽浄土に咲くと言われる蓮の花に親近感を覚えていた。

 菅波は診療所のもう一人の医師・中村(平山祐介)が勧める訪問治療に反対だ。医療は病院という設備があって薬や検査機器、専門スタッフがいて初めて治療できるから。それに「痛みと息苦しさを取り除く以外何もやらせてもらえないなら」という言葉も。積極治療を受けてほしい菅波の葛藤がその表情とため息から感じ取れる。

 トムさんのことを気にかけながらサヤカと食事をしていた百音は、2人でも食卓を囲むには大きすぎるそのダイニングテーブルにふとトムさんからの注文を思い出していた。「でかいダイニングテーブルと4脚の椅子」はどう考えても一人暮らしには持て余してしまうはず。トムさんの力になるヒントはそこに隠されている。

※塚本晋也の「塚」は旧字体が正式表記。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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