心に残る韓国ドラマ『ムーブ・トゥ・ヘブン』 遺品整理士が届ける“大事な役割”が泣ける

韓国ドラマ『ムーブ・トゥ・ヘブン』が泣ける

「これから最後の引越しをお手伝いします」

 これは『ムーブ・トゥ・ヘブン:私は遺品整理士です』の主人公、遺品整理士ハン・グル(タン・ジュンサン)が、遺品整理をはじめる際に決まってする挨拶である。20歳のグルは父のハン・ジョンウ(チ・ジニ)と2人で暮らしながら、父が経営する遺品整理会社「ムーブ・トゥ・ヘブン」で働いていた。アスペルガー症候群であるグルは“一度覚えたことは決して忘れない”特技がある。その特技を持つグルが遺品整理の仕事をする中で、故人や遺族、グルの周りにいる人たちを通して、私たちにも“大事な役割”を預けてくれた。

 グルは幼い頃に母親を亡くしたが、ジョンウからたくさんの愛情を受けて育ってきた。ところが、病気を患っていたジョンウは突然この世を去ってしまう。そこに現れたのが叔父のチョ・サング(イ・ジェフン)。刑務所から出所したばかりの、無精髭が悪い意味でよく似合う30代半ばくらいだろうか。ジョンウは自分が死んだら、弟のサングにグルの後見人になるよう遺していたのだ。ある事件が原因でジョンウをずっと憎んでいるサングだが、遺産目当てで「グルと3カ月一緒に暮らし、その間ムーブ・トゥ・ヘブンの仕事をすること」を条件にグルとの生活を始めることになる。

 『愛の不時着』(2019年)での北朝鮮兵士5中隊の末っ子役をきっかけに、グルを演じるタン・ジュンサンを知った人も多いだろう。7歳の時にミュージカルデビューして活躍していた彼は、歳の差がある俳優との共演でも引けを取らず自然体だ。本作のインタビューで「勉強を覚えることは大変だけど、台詞を覚えるのは苦ではない」とコメントし、記憶力による台詞の多さ、芯のブレない強い思い、人の心を動かす問いかけをするグルという青年を期待以上に魅せてくれている。本作の次に『ラケット少年団』(2021年)でバトミントン界のアイドルを目指す彼に会い行きたくなる、2003年生まれの17歳(2021年6月現在)のタン・ジュンサンの魅力はまだまだ止まりそうにない。

 また、グルの叔父サング役は、実力派俳優イ・ジェフンが演じる。イ・ジェフンといえば、日本でもリメイクされたドラマ『シグナル』(2016年)で優秀な新人プロファイラー、『建設学概論』(2012年)では恋に奥手な青年、新人男優賞を受賞した『高地戦』(2011年)では若き大尉など多様な役をみせてきた。今回は刑務所に入っていた荒ぶれ者。飲み干した牛乳パックのゴミやタバコの吸い殻を床に投げるような男が、グルと出会ったことで誰かを想いながら花に水をあげるようになったり、辛い過去と向きあっていくその過程を熱演する。特にイ・ジェフンの感情が湧き出す時の表情は、心にじわじわと染み込んでいき涙腺が緩んでしまう。

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