鈴木京香にとって朝ドラは常に転換点だった？　『おかえりモネ』亜哉子の母親像を考察

　娘たちからなんで先生を辞めたのかと聞かれたとき、「おばあちゃんの介護が大変になって、体力的にしんどくなったから」と言った後に遠い目をしていた亜哉子。理由がほかにあるのかもしれないが、震災を経験して、各々が自分に何ができるのかを考えたとき、亜哉子は家族を明るく支えていくという答えを導き出したのだろう。ここ最近の鈴木は、これまでのイメージを切り崩すような親しみのある役やユーモラスなキャラクターを演じていたが、鈴木京香という大きな看板があっても違和感なく庶民的な母親を演じる姿から、改めて演技力の高さに気づかされる。

　とはいえ、まだドラマは始まったばかり。「カッとなると、お父さんがぐうの音も出ないほど言い負かされる」と娘に言われるほど、怒ると怖いタイプの人間のようなので、鞘に納めている刀をいつ抜くか分からない。義母が切り盛りしていた民宿を復活させ、夏木マリ演じる新田サヤカのように町を仕切る存在になる可能性も否定できない。

　キャリアを積むとどうしても新しいチャレンジが難しくなってしまうものだが、これまで鈴木が出演してきた朝ドラ同様、『おかえりモネ』も鈴木の新たな演技の道を切り開くことになりそうだ。

※高田彪我の「高」はハシゴダカが正式表記。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合：午前8:00〜8:15、（再放送）12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K：7:30〜7:45、（再放送）11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演：清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本：安達奈緒子
制作統括：吉永証、須崎岳
プロデューサー：上田明子
演出：一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供＝NHK