鈴木京香にとって朝ドラは常に転換点だった? 『おかえりモネ』亜哉子の母親像を考察

『おかえりモネ』鈴木京香が体現する母親像

 清原果耶主演のNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』で、ヒロイン・百音の母親である永浦亜哉子を演じる鈴木京香。出身地である宮城が物語の舞台でもあり、縁の深い作品となった今作でどんな母親像を見せているのか掘り下げてみたい。

 クールなキャリアウーマンから、愛人や悪女、上司役まで幅広く役を演じる鈴木だが、共通しているのは、自分の生き方にプライドを持った女性の強さを体現していること。同性も思わず憧れるクールな女性像を自然と演じるのが上手い役者であるということが、鈴木が長年主演女優として愛されてきた理由の一つでもあるだろう。

 “朝ドラヒロイン”として大きなインパクトを残した1991年の『君の名は』に続く朝ドラ出演となったのは、2017年の葵わかな主演の『わろてんか』。本作では母親ではなく、女手一つで老舗の米問屋「北村屋」を切り盛りし、辛口ながらもしっかりと商売のイロハや作法を嫁に教える姑役を演じた。若手を引っ張る役柄でもあり、鈴木が今後どのように作中で立ち回っていくかを示唆する重要なターニングポイントだったようにも感じる。

 そして、今回の『おかえりモネ』では、主人公一家の理想的な母親像を体現。これまでも母親役は経験している鈴木だが、港町の仲睦まじい家族を優しく見守る“良き母親”像は少し新鮮でもある。

 百音が悩んでいることに対し、影では心配するも、無理に応援したり否定をせずに、優しく見守る母・亜哉子。百音や妹の未知(蒔田彩珠)は、真面目で、責任感と行動力を併せ持った家族思いの優しい子たちで、子どもは親の鏡とよく言うが、亜哉子の影響も大きいのかもしれない。今作は、百音を始め、東日本大震災を経験した人々が、それぞれの悩みを抱えながらも前向きに生きていく話がベースとなっているが、亜哉子も当然抱えているものがあるだろうし、娘が悩んでいる姿が一番親として辛いはず。ただそれでも明るく見守る姿勢を維持し続けていることが、作品カラーの象徴にもなっているように思う。

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