『おかえりモネ』百音を気遣う菅波の些細なひと言 坂口健太郎が不器用な優しさを体現する

坂口健太郎が体現する不器用な優しさ

 学童机の制作が佳境を迎え、百音(清原果耶)は大忙し。日中は子供たちに学童机を届けるために奮闘し、夜は気象予報士試験に向けて勉強を続けていた。そして百音は、はじめての気象予報士試験を受ける。NHKの連続テレビ小説『おかえりモネ』が第7週初日を迎え、ケガをしたサヤカ(夏木マリ)の役に立ちたいと思う百音の心情が描かれた。

 2015(平成27年)3月のある日、森林組合にやってきた百音は晴れ晴れとした顔をしていた。百音は菅波(坂口健太郎)に学童机が納期内に完成したことを報告する。そしてその晴れやかな表情のまま、気象予報試験の合否通知も告げる。結果は不合格だった。悔しさが滲む百音の表情を読み取ったのか、菅波は唐突に青空を見つめ「春ですね」と声をかける。試験に落ちてしまった百音を気遣い、励ましたのだろう。百音は一瞬キョトンとしつつも、菅波の優しさに気づき、「フフ……そうですね」と一緒に空を見上げていた。

 百音が森林組合に来てちょうど1年になり、ますます森林の仕事が忙しくなる。百音は懸命に勉強との両立を続けているが、疲れが溜まっていた。そんな百音に、菅波は「今、永浦さんができること、やるべきことは何ですか?」と問いかける。すぐに答えられない百音に、菅波は「帰って休むことです」と伝え、勉強を切り上げるとその場を立ち去っていった。

 その頃サヤカは、この冬に樹齢300年のヒバを伐採すること、次の世代の木を残すために植樹祭を開催する旨を龍己(藤竜也)に話していた。

 だが、菅波が百音に「東京から診療所に戻る」と連絡したその日、サヤカは作業中に骨折してしまう。豪快で快活なサヤカは、自身を心配する百音を冗談でからかう。しかし「あ〜あ……植樹祭は無理が」と嘆くその声や、骨折した足を気にかける百音を「ハハハハハハ、ついでこないで。もう年寄りになった気がするがら、もうやめでよ」と言い聞かせる声はどこか弱々しい。

 そんなサヤカの様子を見て、「今、永浦さんができること、やるべきことは何ですか?」「こういう時は誰だって一人は不安です」「あなたがいてよかった」という菅波の言葉を思い出す百音。もし今、サヤカさんの役に立てているのなら……と、百音は気象予報士の勉強ではなく、サヤカの仕事に役立てる資格の勉強を選んだ。

 森の豊かさと厳しさを教えてくれたサヤカの役に立ちたいと願う百音に、語り部である祖母・雅代(竹下景子)の声が優しく響く。百音の「人の役に立ちたい」気持ちと「気象」への思いがどう結び合っていくのか、楽しみだ。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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