西島秀俊×坂口健太郎の絶対的安心感 知識を描くことで発揮された『おかえりモネ』真の力量

“知識”の大切さを描く『おかえりモネ』

 全国各地で雨という天気の中、放送された『おかえりモネ』(NHK総合)第9話。第2週目の「いのちを守る仕事です」というタイトルの意味に頷けるような、緊迫した回だった。

 前回、小学3年生らを引き連れて植樹体験をしていた百音(清原果耶)は、生徒の一人、圭輔(阿久津慶人)と一緒に雷雨の中、山の中で一種の遭難状態になってしまった。そして今回、どうやら圭輔は足を捻挫してしまったようだ。落雷の危険性もある、文字通り絶体絶命の状況下で百音が電話をかけたのは朝岡さん(西島秀俊)。

 頭を低くしてしゃがむ避難姿勢をとる。木のそばは側撃雷があるので危険。山の斜面の茂みのような背の低い木が密集している場所に完全に潜る。移動時は立ち上がらない。朝岡さんがすぐに的確に出してくれた身を守るための指示は、昨今のアウトドアブームで素人が山に行くことも増えた今だからこそ、誰もが知っておきたい大切な情報である。前週では虹の出るタイミングなど、天気にまつわるワクワクする知識を我々に教えてくれた朝岡さんが、今週では一転して命を守る知識を教えてくれる。ドラマを観ているだけで楽しいことも、怖いけど大事なことも学べる。こういうところに『おかえりモネ』の作品としての凄みを感じて仕方ない。

 なにより、朝岡さんの絶対的な安心感。自分の予測や指示が人命に関わるという、本来はパニックになってもおかしくない想像以上のプレッシャーの中で、百音のために冷静でいられる彼はやはりプロだし、徹底して“良い大人”だ。落ち着いた声色と表情、雰囲気を持つ西島秀俊が演じているからこそ、そのキャラクターの安心感に説得力が持てる。そして彼女の耳の良さを信じてあげられる姿勢は、やはり今後、朝岡さんが百音のメンター的立場になっていく暗示なのかもしれない。

 ところで、山中の雷雨に遭遇した場合、落雷の心配だけをしていてはいけない。むしろ雷よりもよっぽど失命の危険性が高いのが、低体温症だ。実は、朝岡さんは避難指示の際に「子供に声をかけてあげて」と百音に言っていて、この時彼女は単純に圭輔を安心させるためのことだろうと思っているのだが、既に朝岡さんは最初に彼女が言った「小学3年生」という情報から、子供が低体温症になる可能性を理解していたのだ。先週、佐々木(浜野謙太)に花粉症だと告げた時から医者のような側面が感じられたが、今回改めて天気予報士の幅広い知識とその使い所の可能性を描くことで、この職業の重要さが際立っている。



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