『あのキス』回を重ねるごとに魅力的になる井浦新の“オジ巴” 三浦翔平の“狂気”の土下座も

『あのキス』井浦新の魅力的なオジ巴

 見知らぬおじさん(井浦新)が唯月巴(麻生久美子)で、憧れの蟹釜ジョーであるという事実をようやく受け入れ、オジ巴と新たな生活を始めた桃地(松坂桃李)。巴の母・妙(岸本加世子)にも理解してもらい、2人の絆が深まった矢先、オジ巴の“器”となっている田中マサオの妻・帆奈美(MEGUMI)が現れた。

 一方その頃、蟹釜ジョーを血眼になって探す巴の元夫で編集者の高見沢(三浦翔平)。『あのときキスしておけば』(テレビ朝日系)第4話では、入れ替わった巴とマサオを取り巻く人々の思いが交差する。

 足を挫いたオジ巴を桃地がおぶっているところを、たまたま目撃してしまった帆奈美。「突然いなくなった夫が見知らぬ男とイチャイチャしている」と不倫を疑う帆奈美は、記憶喪失だと主張するオジ巴をそのまま自宅に連れ帰ってしまった。

 まるで本当の“愛人”であるかのように、桃地はオジ巴と引き裂かれたことにショックを受ける。最初はおじさんの姿をした巴に戸惑いを隠せなかった桃地だが、共に暮らす中で巴の変わらぬ優しさと繊細な一面を知り、いつの間にかオジ巴との生活に幸せを感じていたのだ。オジ巴の自撮り写真に悶えるほどの従順さが巴の心を救っている。

 しかし、みんなが桃地のように簡単にはオジ巴の存在を受け入れられない。桃地の元に「巴の居場所を教えてほしい」と頼みにきた高見沢は、どんなに桃地が事情を説明しても理解を示してくれなかった。蟹釜ジョーの『SEIKAの空』を読者に届けたいと願う高見沢は高見沢で必死なのだ。実際、巴の行きそうな場所を全てあたったという彼はどことなくやつれて見える。土下座する高見沢に、「あのおじさんが蟹釜先生なんです」と土下座で返す桃地。巴を愛する2人の男は本気だが、側から見ると実に奇妙な光景だ。

 オジ巴はといえば、以前から崩壊していた田中家に自然と溶け込んでいた。帆奈美も息子の優太郎(窪塚愛流)も女性口調のマサオに最初こそ困惑していたが、心の機微に聡い巴は2人の懐にうまく入り込む。どうやらマサオのリストラがきっかけで家族仲が悪くなったようだが、もともと田中家は幸せな家庭を営んでいたのだろう。

 また、マサオが命を自ら断つ目的で沖縄へと向かっていたことが明らかに。そんな情報を掴んだオジ巴は、桃地と約束していたデートに出かける。原宿の竹下通りでクレープを食べ、バナナジュースを飲み、夜はお台場の夜景を見るーーそんな桃地がスーパーゆめはなの仲間たちに助言されたプランはなかなか上手くいかないが、次第に2人は良い雰囲気に。「男でも女でも先生がいれば、何もいらない」。桃地はデートでそんな自分の気持ちを再認識する。しかし、巴と入れ替わったマサオに家庭がある以上、その家族に理解してもらわなければ2人の幸せを継続していくことはできないのだ。

 桃地とオジ巴はそのまま帆奈美と対峙することに。そこで2人が知ったのは、強気な帆奈美がずっと1人で抱えてきた悲しみだった。リストラされた時も相談してくれなかった、自分からも息子からも逃げてばかりで向き合ってくれなかった……リストラされたことはきっかけに過ぎず、田中家がギクシャクしてしまったのはマサオの取った行動が原因だ。

 愛し合って結婚し、喜びも悲しみも分かち合っていこうと思っていたのに、夫婦になった途端に些細なことが許せなくなり、すれ違ってしまった2人。公私ともに良きパートナーだった高見沢とたった1年で離婚した巴には身に覚えがあった。嫌いになったわけじゃない。むしろ愛しているからこそ、真正面からぶつかって本当に“終わり”になってしまうのが怖い。巴はきっと自分の作品を最も理解してくれる“仕事のパートナー”としての高見沢を失いたくなかったから、“夫”としての彼を手放したのだろう。マサオと巴が入れ替わったことを本当に理解してくれたのかはわからないが、抱えていた感情を吐き出せた帆奈美はオジ巴を解放してくれた。

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