井浦新、『あのキス』で“心地の良い違和感”を生む豹変ぶり 松坂桃李と“癒やし”のやり取り

井浦新、“心地の良い違和感”を生む豹変ぶり

 松坂桃李演じるポンコツ男子・桃地のぞむと、麻生久美子と井浦新が二人一役で演じるヒロイン・唯月巴による“入れ替わり”ラブコメディ『あのときキスしておけば』(テレビ朝日系)。5月7日に放送された第2話では、のぞむが自身を巴と主張する見知らぬおじさん(井浦)に振り回される様子が描かれた。

 スーパーのレジでクレーマーに絡まれているところを助けてもらったことから、巴と知り合ったのぞむ。しかも、巴の正体はこよなく愛する漫画『SEIKAの空』の作者・蟹釜ジョーで、ひょんなことからのぞむは彼女の家にハウスキーパーとして出入りすることになる。しかし、2人で沖縄旅行に出かけた矢先、飛行機の事故で巴は帰らぬ人に。巴の死を知り、のぞむは悲しむ暇もなく飛行機で隣の座席に座っていたおじさんから「私が巴なの」と泣きながら訴えられ、困惑するのだった。

 ややこしいので、井浦演じる巴を“オジ巴”と仮称しよう。のぞむは何もかも信じられず、東京の自宅に戻るが、そのオジ巴は諦める様子もなくついてくる。見た目は紛れもなくおじさんの“彼女”をどうしてものぞむは巴だと信じられない。無理もないだろう。

 しかし、のぞむと巴しか知らない2人が出会ってからの出来事をオジ巴が語るものだから、押しに負けて巴の自宅に案内してしまう。さらに、そこで遭遇した巴の元夫で編集者の高見沢(三浦翔平)から教えられた通夜にオジ巴を連れて参列。棺にはたしかに生前の美しい巴が眠っており、シリアスムードが一瞬流れたのもつかの間。オジ巴は悲しみに暮れている巴の母・妙(岸本加世子)に「ママー!!!」と絶叫しながら近づき、その場を追い出されてしまった。

 どうしていいか分からず、あたふたするのぞむとは対照的に、たった1人の母親に自分が巴だと信じてもらえず悲しみながらも、肝が座っているオジ巴は『SEIKAの空』の続きを描くと決意。そんなこんなで2人の奇妙な同棲は始まるが、日を追うごとにおじさん味が濃くなっていくオジ巴に耐えられず、のぞむは彼女に「出て行ってほしい」と告げるのだ。その一方、店員仲間による情報から、オジ巴の“器”がスーパーに清掃員として出入りしていた“田中”と呼ばれる男性であることが明らかに。その田中が事故の後遺症で記憶喪失になっているに違いない、と信じたいのぞむはオジ巴を説得するが、最後に母一人で育ててくれた妙に会いたいと願う彼女にのぞむは同行する。

 だが、娘を失った悲しみがまだ癒えていない妙にいくら自分の中身が巴だと主張しても信じてもらえるはずがなく……容赦なく追い出され、途方にくれるオジ巴。のぞむも振り回され疲れ果てていたが、オジ巴が完成された『SEIKAの空』の最新話を読んでようやく本当に彼女が巴であると確信した。SNSで蟹釜ジョーへの誹謗中傷を書いたアンチに反撃したり、オジ巴の頭をそっと撫でなぐさめるのぞむと、そんな彼を前にして安心しきった様子で泣きじゃくる巴のやりとりが微笑ましい。巴がのぞむを気に入ったのは、無条件で自分を受け入れてくれるからだろう。何よりも人生のすべてを賭けている自分の作品を読んで、あっさりと巴だと信じてくれたのぞむに彼女は救われたはずだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる